FRBは利下げに慎重でも5月CPI低下で、9月利下げ期待続く

 先週12日(日本時間午前3時)に発表されたFOMC(米連邦公開市場委員会)の結果は、FRB(米連邦準備制度理事会)の利下げに対する慎重姿勢を再確認するものでした。FOMCメンバーによるFF(フェデラルファンド)金利予測(中央値)では、2024年末のFF金利が5.1%でした。

 年内0.25%の利下げは1回のみ、つまり9月の利下げはないと示唆されました。普通ならば、これを嫌気して長期金利が上昇してナスダックは下がってもおかしくありませんでした。ところが、そうはなりませんでした。

FOMCメンバーによるFF金利の予測(中央値)

出所:FRBより楽天証券経済研究所が作成

 同じ12日に発表された5月のCPI(消費者物価指数)で、インフレ鈍化が見られたからです。FOMCで示された年末のFF金利予測は、5月CPIを見る前の予測と考えられます。5月CPIを見れば、年内2回の利下げが見込まれていただろう、と市場で思惑が広がりました。つまり9月利下げがあると期待されました。

 これを受けて米長期金利は4.2%へ低下し、ナスダックは上昇して最高値を更新しました。

米10年金利とFF金利の日次推移:2021年末~2024年6月12日

出所:QUICK・ブルームバーグより楽天証券経済研究所が作成

米インフレ率(CPI総合・コア指数前年同月比上昇率)推移:2020年1月~2024年5月

出所:米労働省より楽天証券経済研究所が作成