トランプ氏再選なら、相場は急騰と急落を繰り返すことに

 トランプ氏は、大統領時代、Twitter(現在は「X」)を通じて、株式市場にひんぱんにサプライズ(驚き)を与える発言を繰り返しました。その都度、株が急騰したり、急落したりしました。株式市場をひんぱんに振り回す大統領でした。

 再選すれば、同じことが繰り返される可能性があります。ただし、株式市場をよく見ている大統領であったことだけは、間違いありません。自分の発言で株価が急落することを、良しとはしていませんでした。米中問題では、米国株の上昇が続いていると、対中強硬発言が増えますが、下落が続くと融和的発言が増える印象がありました。

金融緩和へ圧力を強める見込み、円安けん制あるか?

 トランプ氏は大統領時代、米国の中央銀行に当たるFRB(連邦準備制度理事会)に対し、金融政策への介入ととられかねない発言を繰り返していました。利上げをやめ、金融緩和を強めるように圧力をかけ続けました。

 トランプ大統領時代の2018年は、現在のFRB議長であるパウエル氏の就任初年度でした。トランプ氏は、利上げをやめるように口先介入を続けましたが、パウエル議長はそれに逆らって2018年に4回、利上げを実施しました。こうした経緯があることから、トランプ氏は早速「大統領になったらパウエル議長の再任を支持しない」と発言しています。

 トランプ氏が大統領に復帰すれば、改めて利下げを要求する発言を繰り返す可能性があります。

 トランプ氏は、為替についても、口先介入を続けました。米国の製造業を支持する目的から、対米で貿易黒字を稼ぐ日本の通貨「円」が安くなることを、けん制しました。

 トランプ再選があれば、FRBに対して利下げ圧力をかけ、さらに円安を批判する発言をする可能性もあります。トランプ発言で円高になれば、日本株が短期的に下落する要因となるので、注意が必要です。

日本株、長期的な上昇余地大きい、短期的に下落も

 日本株の投資判断は変わりません。日本株は割安で、長期的に上昇余地が大きいと判断しています。ただし、一本調子の上昇は見込めません。

 今年に入ってからの上昇ピッチはやや速すぎると考えています。今後、短期的に、円高などを嫌気して下落する局面もあると思います。時間分散しながら割安な日本株を買い増ししていくことが、長期的な資産形成に寄与すると考えています。

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