ビットコイン、ETF承認でなぜ上がる?

2023年のビットコイン/円

TradingViewより楽天ウォレット作成

 ビットコイン相場が堅調だ。昨年1月1日に216万円でボトムアウトして、今年1月10 日には692 万円と3倍以上に上昇、2021年11月に付けた史上最高値785万円に100万円足らずにまで値を伸ばした。

 この上昇の背景にビットコインの現物ETF(上場投資信託)の承認がある。昨年6月に世界最大の運用会社ブラックロックが申請を出してから承認期待が高まり、ビットコイン相場の上昇をけん引してきた。本稿では、そもそもなぜETFが登場したらビットコインが買われるのか? そして今後どうなりそうなのか解説したい。

なぜETFでビットコインが買われる?

米機関投資家の参入

 金融機関などの仲介者なしに、インターネット上で流通する新たな電子マネーとして登場したビットコインは、一部の愛好家の間でトレーディングカード感覚で取引が始まった経緯もあり、個人中心の市場だった。そしてこの市場に、法人、特に機関投資家の資金が流入すると大化けする、と指摘されていた。

2020年コロナショック以降のビットコイン/円

TradingViewより楽天ウォレット作成

 そうした動きが2020年に始まった。コロナショックによる史上最大の財政支出と、金融緩和によるインフレリスクを感じ取った一部の米機関投資家が、ヘッジとしてビットコインを買い始め、2021年のブームを演出した。

 しかし、その当時、ビットコイン市場に参入したのは、ポール・チューダーなどのヘッジファンドやロスチャイルドなどファミリービジネス、ハーバード大などのアイビーリーグ、そして事業法人でいえばテスラなど小回りの利く投資家が中心だった。

投資家のすそ野拡大期待

 保険会社や年金、投資信託など、伝統的な機関投資家にとって、ビットコインのエクスポージャー(リスクにさらされている割合や総額)を取ることは、まだまだハードルが高かった。

 しかしブラックロックのような信用力がある企業が運営するETFが登場すれば、ハードルが一気に下がり、そうした金融機関の資金が流入すると期待して、投機筋が先回りしてビットコインを購入しているわけだ。

金価格と米ベースマネー

Bloombergより楽天ウォレット作成