注目の米銘柄の状況をチェック

 その中でも、とりわけ注目されるのが、「マグニフィセント・セブン(M7)」と呼ばれる銘柄グループのうち、今週に決算を発表する5銘柄です。

 そこで、この5銘柄についての状況を簡単にチェックしていきます。

図3 米マイクロソフト(MSFT)日足とMACDの動き(2024年1月26日時点)

出所:MARKETSPEEDIIを元に筆者作成

 まず、最初はマイクロソフトです。上の図3では、トレンドの強さを確認するため、日足チャートに「多重移動平均線」を重ねています。

 マイクロソフトは、生成AI需要への期待感で株価が上昇し、時価総額を3兆ドルまで拡大させています。テクニカル分析的にも、これまでの最高値圏だった350ドル台を突破し、上値を追っている状況です。多重移動平均線もすべての線が上方向を向いており、上昇トレンドを継続中です。

 決算を通じて、さらに上値を伸ばすのか、ひとまず材料出尽くしとなるのかが注目されます。

図4 米アルファベット(GOOG)週足とMACDの動き(2024年1月26日時点)

出所:MARKETSPEEDIIを元に筆者作成

図5 米メタ・プラットフォームズ(META)週足とMACDの動き(2024年1月26日時点)

出所:MARKETSPEEDIIを元に筆者作成

 続いては、アルファベット(図4)とメタ・プラットフォームズ(図5)です。こちらはともに週足チャートとなっています。

 両銘柄ともに上昇基調を続ける中、先週に最高値を更新してきました。一般的なテクニカル分析のセオリーでは、「最高値の更新(新値)は買い」とされていますが、こちらも決算を通じて上値を追っていけるのか、それとも達成感で売られてしまうのかが焦点になります。

図6 米アマゾン(AMZN)週足とMACDの動き(2024年1月26日時点)

出所:MARKETSPEEDIIを元に筆者作成

 先ほどの3銘柄に対して、株価面で出遅れているのがアマゾンです(図6)。

 先週末26日(金)の終値は159ドルと、節目の160ドル台に迫っていますが、チャートを遡ると、160ドルは2020年の半ばから2022年にかけて株価がもみ合った水準でもあり、長期的には戻り待ち売りも出やすくなることも想定されます。

 決算については、北米やグローバル事業の収益改善や、クラウド事業の成長加速が寄与し、好業績が期待されていますが、アマゾンは過去の決算で、市場予想を下回る内容を示すことが少なくなく、他の銘柄に比べて株価の上昇が遅れている面があるかもしれません。

 逆を言えば、期待通りの決算を示すことができれば、これまでの最高値(2021年7月の188ドル)超えも視野に入ってくるかもしれません。

図7 米アップル(AAPL)日足とMACDの動き(2024年1月26日時点)

出所:MARKETSPEEDIIを元に筆者作成

 最後はアップルです(図7)。

 こちらは日足チャートを表示していますが、アップル株は昨年12月14日に最高値を更新した後、急落する場面がありました。

 投資判断を引き下げる金融機関が相次いだほか、中国で販売する同社製品の値下げが発表され、業績への警戒感が高まったことなどがその理由ですが、下値については200日移動平均線がサポートとなり、直近では持ち直す動きを見せています。

 決算での注目ポイントは、VRヘッドセットの発売と生成AI導入の進捗状況、中国での売上と見通し、新製品の情報などが挙げられますが、直近でネガティブな材料が多かっただけに、決算内容が冴えないものだった場合の株価急落には注意が必要かもしれません。

 このように、今週は、昨年来から続く上昇相場がさらに大きく伸びて行くのか、それともひとまず調整局面を迎えるのかを見極めるターニング・ポイントとなる可能性があります。仮に、相場の方向性が下向きとなった場合には、日本株再評価の視点によって買いが下値でしっかり入って来るかどうかが焦点となり、企業決算と同時に「日本株の底力」も試される週になりそうです。