日経平均はどこまで上昇できるか?

 そこで、現在の日経平均の割高感について確認していきます。

図3 日経平均とPERの推移 (2024年1月12日時点)

出所:MARKETSPEEDIIデータ等を元に筆者作成

 上の図3は日経平均とPER(予想)の推移を示したものです。

 先週末12日(金)の日経平均のPER(株価収益率)は15.63倍です。ここ2年間のPERはおおむね12~15倍の範囲内で推移したため、範囲の上限を超えたわけです。

 しかし直近では、昨年9月19日に16.11倍まで上昇したケースがあること、これから本格化する決算シーズンで、国内企業の「稼ぐ力」を示すことができれば、「株価÷1株あたり利益」で計算されるPERの分母のところが大きくなって、PERの低下要因となるため、薄まった割高を背景に、さらに株価が上昇していくことも考えられます。

図4 日経平均(週足)の値幅計算(2024年1月12日時点)

出所:MARKETSPEEDIIを元に筆者作成

 また、上の図4は、年末のレポートでも紹介した、日経平均が上昇した場合の目標値計算です。

 計算内容については、当時のレポートをご覧いただくとして、2024年はまだ目標達成していない計算値(3万6,000円台)までの「空白地帯」を埋めて行く展開を想定していました。

 先週の株価上昇によって、空白地帯の大部分を埋めに行ったことになりますが、今後もさらに株価が上昇していった場合、次の目標値であるVT計算値(2)の3万6,293円が目安になります。

今後は「市場が織り込んでいる想定」と時間軸が焦点に

 最後に、今後の相場の視点についても考えて行きたいと思います。

 先週の急ピッチな株価上昇を受けて、相場の過熱感を指摘する見方も増えつつありますが、では、今の株価水準が「高過ぎるのか?」という点については、「市場が織り込んでいる想定」からすれば、決して高くはないと思われます。

「市場が織り込んでいる想定」とは、米国では経済がソフトランディングし、利下げも開始され、企業業績も堅調に推移し、日本では、企業改革が進み、脱デフレを実現し、好調な経済が維持されることなどが主な項目として挙げられます。

 注意しなければならないのは、「今の株価が想定をどこまで先取りしているのか」と、「想定が揺らいでしまう状況になること」の2点です。

 今後の株価が調整局面を迎えた際、前者であれば、現実とのギャップを埋めるスピード調整となり、株価の下落は絶好の買い場となります。例えば、先ほどの図4の目標値である3万6,000円台を超えてさらに次の目標値に向かう動きはこのパターンになります。

 反対に、後者だった場合には、想定シナリオの修正となり、期待先行で買われた分、株価が大きく下落して下値を探りに行く展開にもなりかねません。

 企業決算の発表が少ない今週については、目先の利益確定売りや、過熱感への警戒による売りがメインになりそうですが、決算シーズンが本格化する来週以降は、相場の中長期的な変化のきっかけとなる可能性があるため、「市場が織り込んでいる想定」に変化が乗じていないかをチェックしつつ、相場に向き合うことが重要になりそうです。