2023年4-6月期決算はまちまち、長期の持続的成長見通しは全事業部門で明確

現地コード 銘柄名
00700

騰訊控股

(テンセント)

株価 情報種類

328.80HKD
(8/17現在)

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 中国の有力ネット企業、テンセントの2023年4-6月期の売上高は前年同期比11%増の1,492億元と、市場コンセンサス予想、BOCIの予想をいずれも2%下回った。ピーク期の1-3月期の後、自主的にマネタイズ戦略を停止した影響で、国内ゲーム収入が前四半期比横ばいにとどまったことが響いた。ただ、海外ゲーム収入は好調。オンライン広告収入も技術的進化や動画アカウントの収益化を背景に、前年同期比34%増と好調だった。粗利益率は全体で47.5%。非IFRS(非GAAP)ベースの調整後純利益率は25.2%と、いずれも市場予想を上回る水準に達した(非IFRSの純利益は前年同期比33%増)。BOCIは主力事業全てが成長のけん引役となる可能性を指摘。目標株価を引き下げながらも、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

 4-6月期の粗利益率は47.5%と、前年同期比で4.3ポイント、前期比で2.0ポイント上昇した。製品構成の優良化やコスト効率の改善により、主力3部門全てで粗利益率が拡大した。傘下のオンライン決済サービス「財付通(テンペイ)」が中国当局に支払った罰金29億9,000万元を除けば、調整後の営業利益率は29.0%と、市場予想通りの水準となる。

 BOCIは引き続き、同社の持続的成長を楽観視している。ユーザーエンゲージメントやコンテンツ・エコシステム、インフラ構築、技術の強化、コスト効率化、法令順守を優先し、外部要因に左右されることのない全事業の収益化に着実に取り組んでいることがその理由。多種のけん引役の存在により、各事業部門が堅調を維持するとみる。

 事業別では、国内のゲーム収入は新作10種の投入や旗艦タイトルのマネタイズ戦略の「再開」で、7-9月期に前年同期比11%増と、再び成長軌道に乗ると予想。海外ゲーム収入は新作の投入と既存作品の旺盛な需要を受け、今後も堅調を維持するとみている。SNS事業では短中期的に、テンセント・ミュージック(01698)などのストリーミング配信の縮小が響く半面、ミニゲームや音楽サブスクサービスの勢いは持続する見通しという。ほかに、オンライン広告部門は技術の最適化や新たな広告製品の投入で業界をリードし、フィンテック・企業向けサービス部門はマクロ経済の回復と新たなマネタイズ戦略を背景に健全な成長を維持するとの見方。全ての要素を考慮し、2023-24年の予想売上高を小幅に上方修正した。

 2023-25年の非IFRSの予想純利益に関しては、4%、4%、3%増額修正したが、これは明確な粗利益率の改善傾向が理由。BOCIはSOTP(サムオブザパーツ)方式に基づく目標株価を小幅に下方修正しながらも、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

 レーティング面の潜在リスク要因としては、ゲームからフィンテックに至るまで規制リスクが存在する点を指摘。ほかに成果報酬型広告市場における一段の競争激化の可能性(特にショート動画プラットフォームとの競争)を挙げている。