腫瘍治療薬などで複数のカタリスト、フルキンチニブが米国で売上好調

現地コード 銘柄名
00013

和黄医薬中国

(ハチメッド・チャイナ)

株価 情報種類

28.80HKD
(6/20現在)

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 香港の有力コングロマリット、長江和記実業(00001)傘下の医薬品メーカー、和黄医薬中国(00013)は、腫瘍・免疫系治療薬の売上高を前年比30-50%拡大する方針に基づき、2024年通期の連結売上高見通しを3億-4億米ドルに設定したが、BOCIはこの数字は十分達成可能との見方。その理由として、米国でのフルキンチニブの1-3月期の売上好調(予想を上回る5,000万米ドル)に加え、胃がんの2次治療用として同薬が7月にも承認される可能性を挙げた。仮にそうなれば、下期の売上高に貢献するとともに、米イーライリリー社からのマイルストーン(進捗(しんちょく)状況に応じた支払金)3,000万米ドルの獲得につながる可能性がある。このほかにも同社は潜在的な成長要因を抱えており、複数のカタリストを実現するための軌道にあるとの見方。同社株の目標株価を引き下げながらも、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

 2025年にはフルキンチニブとサボリチニブのグローバル展開が加速するとみられる。うちフルキンチニブは米国で急速に浸透し、売上高は2023年に1,500万米ドル、2024年1-3月期には5,000万米ドルに達した。BOCIによると、フルキンチニブのNDA(新薬承認申請)はこの先、EU(欧州連合)で6月中、日本では10月にも承認される見通しという。年内にはまた、MET遺伝子異常のタグリッソ治療抵抗性のNSCLC(非小細胞肺がん)を対象とした2次、3次治療用として、米国でサボリチニブのNDAを行う見込み。さらには、サボリチニブの治験フェーズ3のSACHI(有効性・安全性)試験で有効な中間データが得られれば、中国でも年内に同種のNSCLCを適応症としたNDAを提出する可能性がある。

 さらにソブレプレニブに関しては、ITP(特発性血小板減少性紫斑病)を適応症とする治験フェーズ3で、プラセボあるいは既存薬と比べた有効性が示された。すでに中国でITPを適応症とするBTD(画期的治療薬指定:難病治療用の有望な新薬を対象に開発・審査機関の短縮を目指す制度)を取得しているため、年内には承認を得られる見込み。経営陣によれば、ソブレプレニブが承認され次第、50-100人から成る専門営業チームが商品化を準備する予定という。また、ソブレプレニブはwAIHA(温式・自己免疫性溶血性貧血)を適応症とする治験フェーズ3を中国国内で開始。米国ではITPを対象とする治験フェーズ1の準備も進む。複数の適応症で有望データが示されていることから、この先短期的に、海外でライセンシング契約が成立する可能性があるという。

 BOCIは収益見通しを微調整し、永久成長率を4.5%から4.0%に下方修正。WACC(加重平均資本コスト)の想定を11.4%とし、DCF(ディスカウントキャッシュフロー)ベースの目標株価を引き上げた。株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

 レーティング面の潜在リスク要因としては、研究開発の遅延や失敗の可能性、製品販売が予想を下回る可能性、市場競争の激化、主要な提携関係の破綻などを挙げている