エネルギー価格は既に低下、でも賃金インフレは続く

 米国で深刻なインフレを引き起こしたのは、最初はエネルギー価格の急騰でした。ただし、天然ガス先物、原油先物は既にピークから大きく下落しており、エネルギー起因のインフレは、時間をかけて少しずつ収束していくと考えられます。

NYMEX天然ガス先物(期近):2021年1月~2023年2月

WTI原油先物(期近):2021年1月~2023年2月

出所:QUICKより楽天証券経済研究所が作成

 ただし、エネルギー以外のインフレ要因は続いています。サービス産業の景況が強く、労働者不足が深刻で、賃金上昇率が高いことが、コア・インフレ率(エネルギー・生鮮食品を除くCPI上昇率)の高止まりにつながっています。

米雇用統計・平均時給上昇率:2019年1月~2023年1月

出所:米労働省より楽天証券経済研究所が作成

 米国の行き過ぎたインフレ率が低下する方向にあることは確かですが、低下のペースは遅く、FRBによる金融引き締めが長引くリスクに注意が必要です。