国内だけでは成長は頭打ちに、海外事業の利益拡大に期待

 国内で高い競争力を有する小売業に返り咲いたイオンですが、国内だけのビジネスでは、いずれ頭打ちになります。人口が成長するアジアで、利益を拡大していかなければ、中長期の成長は見込めません。

 イオンは、ASEAN(東南アジア)、中国に進出し、アジアで収益を拡大しています。初期コストの回収も終え、海外事業が黒字化しつつあります。コロナの影響で前期まで収益が悪化していましたが、今期はベトナム・マレーシアなどASEAN急回復によって、海外利益が改善しています。

 中国だけは、まだ不振が続いていますが、中国がゼロコロナ政策を解除した効果で、足元、中国も収益が回復してきているもようです。

 コロナが完全に収束すれば、海外事業が、イオンの利益成長をけん引していくことになると考えています。それが、以下の所在地別営業利益でわかります。

イオン2023年2月期第1~第3四半期の所在地別営業利益

出所:同社決算資料より作成

 アセアン・中国その他を加えた海外事業の営業利益468億円で全体の約42%を占めます。将来的にはこの比率がさらに高まっていくと予想しています。

 海外でも、小売業ではあまり稼げていません。それが、事業別のセグメント情報でわかります。事業別セグメントの「国際」部門の営業利益は89億円(構成比8%)しかありません。これが海外小売業の利益です。それに、海外の金融・デベロッパー事業の利益を加えたものが、上記の所在地別セグメント情報に示された、海外事業全体の営業利益です。

 私は、イオンは総合小売業の勝ち組で、コロナが収束した後、国内外で最高益を更新していく企業と見ています。短期的な利益回復期待だけでなく、長期的な最高益更新を見据えて、長期投資していくのに、良い買い場を迎えていると判断しています。