リーマン級危機は起こるか?

 リーマンショックの分析と、現在の危機との比較をお話ししました。それでは、これらの分析を踏まえ、これからリーマン級の危機が起こる可能性について、どう考えたら良いでしょうか?

【1】メイン・シナリオ

 結論は、今までお話ししていることと変わりません。メイン・シナリオとしては、欧米の大手金融機関が破綻するような金融危機は起こらないと予想しています。世界景気はこれからかなり減速すると思います。景気後退ぎりぎりまで減速すると思います。それでも、世界的な金融危機にはならないと思います。
 中国で不動産バブルが崩壊しつつありますが、それで中国国内で金融危機が起こる可能性はあると思っています。ただし、中国の金融危機は、1990年代の日本の金融危機と似たパターンになると思っています。日本は対外純資産が巨額で、海外からの借金が少ないので、1990年代に金融危機が起こっても危機は国内にとどまり、国際的な金融危機には発展しませんでした。中国の不動産バブル崩壊で、中国の大手不動産や金融企業に破綻が増えるかもしれませんが、危機は中国国内にとどまると予想しています。

【2】リスク・シナリオ

 リスク・シナリオも想定する必要があります。つまり、私の予想が外れて、これから世界的な金融危機が起こり、金融危機を伴う世界景気後退が起こるシナリオです。もし、金融危機が起こるとすると、ドル高とドル金利上昇をきっかけとして、過剰債務をかかえる新興国から危機が始まると思います。
 あるいは、これまで上昇が続いてきた米国住宅価格が急落して、米国で住宅ローン危機が再発するリスクを考えなければなりません。いまのところ、まだその可能性は低いと考えていますが、その予兆が出てくれば、このレポートでお伝えしていこうと思います。

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