米金融政策の引き締めを前提に先行きを探る段階

 株式市場はひとまず米金融政策の引き締め自体をかなり織り込んだと考えて良いものの、現在は引き締めによる影響や賃金インフレへの動向など、景況感悪化への警戒の度合いを探っている状況になっていると思われます。

 とりわけ、今週はゼロコロナ政策で揺れる中国で経済指標が発表されるほか、百度(バイドゥ)やテンセントといったIT大手企業の決算が控えています。

 米国ではウォルマートやターゲットなどの小売り関連企業の決算発表のほか、小売売上高の発表などが予定されており、景気の先行き警戒が高まってしまう展開には注意が必要です。

 これまでのNYダウは米金融政策の引き締めを織り込む過程で3万3,000ドルがリスクのオンとオフの境界線として機能してきましたが、今後はその先にある景況感の悪化警戒を織り込む過程で3万2,000ドルが境界線となるかもしれません。

図3 米NYダウ(週足)とMACD (2022年5月13日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 また、上の図3は前回のレポートでも紹介した、週足NYダウの押し目をフィボナッチ・リトレースメントで見たものになりますが、先週の値動きによって、前回注目していた「23.6%押し」ラインを下抜けてしまっているため、株価が一段安となる動きも想定されます。

 同様に、フィボナッチ・リトレースメントで米NASDAQを見てみると、こちらも一段安への警戒が燻(くすぶ)っています。

図4 米NASDAQ(週足)とMACD (2022年5月13日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 NASDAQについては、上の図4を見ても分かるように、NYダウよりも一段階低い「38.2%押し」ラインをすでに下抜けており、さらに先週は「半値(50%)押し」ラインを下抜ける場面もあり、下方向への意識が強い状況と言えます。