決算発表、5つの注目点

 1-3月の業績にどんな変化があるか、慎重に見極める必要があります。また、3月期決算企業では、新年度(2023年3月期)の業績予想も発表されます。期初の予想は保守的(低め)に出す企業が多いものの、それでも新年度をどうみているか、おおまかな方向性はつかめます。

 1-3月の実績および新年度の予想をみる際、注目すべきポイントが5つあります。

【1】円安は日本企業全体の業績にプラスかマイナスか?

 私はプラス効果の方が大きいと考えています。ところが、最近「悪い円安」説が広まっていて、円安が企業業績にもマイナス影響を及ぼすと考える人もいます。輸出企業や内需企業にどういう影響を及ぼすか、決算発表から読み解いていきたいと考えています。

【2】資源高は日本企業全体の業績にプラスかマイナスか?

 資源関連企業の業績は好調が見込まれます。一方、原料高に苦しむ企業も増える見込みです。企業業績全体への影響で見ると、1-3月はまだプラスと見ています。安値在庫を保有している影響がプラスに出るからです。
 ただし、新年度になると安値在庫がなくなり、原料高が企業業績を直撃するようになります。新年度については、原料高の重しが大きくなると予想しています。
 個々の企業が資源高の影響をどうみているか、決算発表から読み解いていきたいと考えています。

【3】ロシア事業の損失がどれだけ出るか?

 1-3月決算でロシア事業からかなりの損失が出ると考えられます。ロシア向けの売上が減る、あるいはロシアでおこなっている事業の操業度低下(または操業停止)による損失だけならば、重大な影響はないと思います。事業の継続が不可能になることを前提に、減損損失を建てる必要があると、巨額の損失につながる可能性もあります。
 現時点で先行きを見通すことは困難ですが、ロシア事業を抱える企業が、困難な中でどのような決算を出してくるか、注目されます。

【4】中国事業の利益はどうなるか?

 中国景気の減速が鮮明になってきています。不動産大手「恒大集団」の経営悪化や、ロックダウン(都市封鎖)の影響が懸念されます。
 そうした中で、中国でビジネスを行う日本の「中国関連株」の業績にどのような変化があるか、注目されます。

【5】リオープン(経済再開)で消費回復見込めるか?

 まん防(まん延防止等重点措置)が終了し、国内消費に回復機運が出ています。その影響が新年度の予想にどう出るか、消費サービス関連産業の決算も注目されます。