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バブル相場とドル安
石原 順
外為市場アウトルック
リーマンショックの影響による景気回復に向けた歳出の増大が、世界中で財政赤字の拡大を招いた。政治家は財政再建をしなければならず、その結果、景気対策は中央銀行に押し付けられることにな…

バブル相場とドル安

2011/4/22
数社の海外ファンドの運用を担当する現役ファンドマネージャーとして活躍する石原順氏による外国為替市場レポート「外為市場アウトルック」。お客様の投資のヒントにお役立てください。
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S&Pが米国の長期格付け見通しを「ネガティブ」に引き下げた。格付け機関が米国債の格付け見通しを引き下げたのは史上初の出来事だ。S&Pは「今後2年間に米政府が赤字削減策をまとめられない場合、トリプルAから格下げする」と言っているが、バブル環境下にある金融市場では2年後の話? ということで軽視されている。

米国債金利(日足)米国債市場は金利低下 2年後33%の確率を軽視


(出所:石原順)

NYダウ(左)とVIX恐怖指数(右)の日足 カネ余りのリスク軽視相場が続いている


(出所:石原順)

通貨市場だけが過剰なドル安反応を見せているが、現在の相場はQE2(量的緩和第2弾)による過剰流動性相場であり、株やコモディティといったリスク商品が選好される。そして、カネ余り下の外為市場では単純なロジックが好まれ、結局、「金利差相場」となってしまうのだ。

いずれにせよ、「今後、米国は財政出動が困難となり緊縮財政路線に向かわざるを得ないことから、景気対策はなおさら金融政策頼みとならざるを得ない。米国は当面、現在の低金利政策を長期化する」という見方が増えて、リスク・オンの「金利差相場」の中でドルが売られている。

ドルインデックス(主要6通貨に対するドルの動きを示すドル指数)が年初来安値更新相場となっているのは、上記のような「金利差相場」が背景にある。ドルに関しては先週のレポートやセミナーで述べた「もう一つのシナリオ」を想定しておく必要があるだろう。

ドル弱気パターン


(出所:石原順)

ドルインデックス先物(日足) 2008年のドル最安値が射程圏内に…


(出所:石原順)

QE2が6月末まで継続されるとの見方が多い中、ドルが大きく反転するには4月27日のFOMCでタカ派的なコメントが出る必要がある。この先、NYダウが上昇軌道に乗って大きく上昇すればその可能性が出てくるので、米株の動きを注視したい。

また、ドル安と米金利高が同時に進んだ場合(株も含めたトリプル安に発展する可能性をFRBは心配している)は、ファイナンスの観点から米国はドル安を放置できなくなる。米国のみの事情から見たドル反転のきっかけは、上記の2点となろう。

ドル全面安(ドルインデックス安)に引っ張られる格好で、ドル/円相場でもドル安が進行している。現在のところ76円~85円までの上昇幅の38.2%押しレベルを割り込み、半値(50%)押し=81円レベルを伺う展開となっているが、ここは13日移動平均-3%乖離の水準であり、終値ベースで強力なサポートとなろう。

81円を終値(NYクローズ)でも割り込むようだと、61.8%押しの80円レベルまでのドル安を想定する必要がある。この80円は介入レベルでもあり、この水準までドルが売られれば、相場の転換点を捉えるのが得意な通貨ファンドがドル買いに動くと見られている。

ドル/円(日足) フィボナッチ・リトレースメント(押し目の目処)と13日移動平均3%乖離(青)


(出所:石原順)

1995年の円売り介入後の相場では61.8%押しの2番底をつけた


(出所:石原順)

ドル/円・豪ドル/円 過去10年の星取表(○円安・●円高)

クロス円は6月円安を想定して、4~5月に押し目買いの機会をうかがいたい。


(出所:石原順)

昨今の外為市場では、クロス円や豪ドルはNYダウと連動し、ユーロは原油と連動している。一時懸念された「QE2の途中打ち切り」がないということで、目先のバブル相場に便乗しようという機運が拡がり、NYダウが約2年10カ月ぶりの高値まで上昇してきたが、NYダウが高い日の豪ドルは堅調である。金利上昇ロジックで「原油買い+ユーロ買い」を行うファンドが多いが、NYダウが年初来高値相場となっていることで、「株買い+豪ドル買い」のポジションを持つファンドも増えている。

豪ドル/ドル(左)とユーロ/豪ドル(右)の週足 豪ドルは株!

上段:14週ADX(赤)・26週標準偏差ボラティリティ(青)
下段:21週ボリンジャーバンド1σ(緑)


(出所:石原順)

現時点では日足ベースで明確なトレンド相場となっているのは豪ドルのみで、ドル・円・ユーロのいずれもまだ本格的なトレンド発生とはなっていない。本日からイースターの休暇が始まるが、明確なトレンドが出てくるのは来週のFOMC以降となるだろう。日足のトレンドは今ひとつ不鮮明なので、今週、筆者は<1時間足>での取引で相場参戦しているが、ユーロを中心に美しいトレンド相場が展開されている。

ユーロ/ドル(1時間足)

上段:14時間ADX(赤)・26時間標準偏差ボラティリティ(青)
下段:21時間ボリンジャーバンド1σ(紫)


(出所:石原順)

ユーロ/円(1時間足)

上段:14時間ADX(赤)・26時間標準偏差ボラティリティ(青)
下段:21時間ボリンジャーバンド1σ(紫)


(出所:石原順)

豪ドル/ドル(1時間足)

上段:14時間ADX(赤)・26時間標準偏差ボラティリティ(青)
下段:21時間ボリンジャーバンド1σ(紫)


(出所:石原順)

豪ドル/円(1時間足)

上段:14時間ADX(赤)・26時間標準偏差ボラティリティ(青)
下段:21時間ボリンジャーバンド1σ(紫)


(出所:石原順)

ユーロはギリシャ2年国債の金利が20%を超えるような事態となっており、楽観を許さない状況にある。ユーロ圏の債務不安に限らず、中東・北アフリカ情勢、日本の東日本大震災、米国の格下げ見通しなどいくつものネガティブな材料を抱えながらも、投資家の不安心理を映すVIX指数は(俗称:恐怖指数)まったく反応していない。少々、不気味ではあるが、「カネ余り相場」を象徴する現象と言えよう。やはり、今は過剰流動性相場なのである。

ユーロ/ドル(日足)

上段:14日ADX(赤)・26日標準偏差ボラティリティ(青)
下段:21日ボリンジャーバンド1σ(緑)


(出所:石原順)

ギリシャ2年国債金利(日足)


(出所:ブルームバーグ)

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