ノーマルパターンのドルの循環(季節性)は、3月~8月までがドルの高値が出現しやすい時期である。今年もドルや米長期金利は3月半ばに一度反転に向かったが、ドル上昇軌道には乗れずに反落し、現在はドルインデックスに売りトレンドが発生している。

ドルインデックス安といっても、ユーロとスイス以外は元々あまり連動性がない。ポンド・円・豪ドルなど、通貨によってまちまちの動きとなっている。この先、ドルを大きく動かす材料として4月27日のFOMC、5月6日の雇用統計が控えているが、大きなドル売りの動きとなるかどうかは、もう少し様子を観てみないとわからない。

いずれにせよ、上がるべき循環期に上がらなかった相場は、今度は反対方向へ大きなエネルギーを持つ傾向があり、4月後半から5月に向けてのドル安には注意が必要となろう。

ドルインデックス先物(日足)

上段:14週ADX(赤)・26週標準偏差ボラティリティ(青)
下段:21週ボリンジャーバンド1σ(緑)


(出所:石原順)

ドル相場のもう一つのシナリオ(ドル弱気パターン)


(出所:石原順)

ユーロ/ドル(日足)

上段:14週ADX(赤)・26週標準偏差ボラティリティ(青)
下段:21週ボリンジャーバンド1σ(緑)


(出所:石原順)

豪ドル/ドル(日足)

上段:14週ADX(赤)・26週標準偏差ボラティリティ(青)
下段:21週ボリンジャーバンド1σ(緑)


(出所:石原順)

ポンド/ドル(日足)

上段:14週ADX(赤)・26週標準偏差ボラティリティ(青)
下段:21週ボリンジャーバンド1σ(緑)


(出所:石原順)

ドル/円相場は2007年高値からの長期抵抗線の攻防となっていたが、2010年高値から2011年3月の下げ幅の半値戻しを達成したことで動きが一服し、現在は直近の上げ幅の23.6%押しレベルまでドル安となっている。

強いドル高トレンドの後の日柄調整の局面を迎えているが、83円50銭以下には断続的に大口のストップロス注文が並んでいるとの観測もあり、ドル/円は下値警戒が必要だ。76円で当面の底をつけた円相場は中期的に90円の方向に向けて動くと思われるが、目先はドルインデックスベースのドル安に引っ張られて上値は限定的となるだろう。

ドル/円(日足) 長期トレンドラインの攻防


(出所:石原順)

ドル/円(日足)フィボナッチ・リトーレースメントによる押し目の目処


(出所:石原順)

先週のレポートでは、「問題は標準偏差ボラティリティが高い位置から十分な調整を入れずに、さらに上昇していることだ。筆者の相場経験から言えば、こういった標準偏差ボラティリティの波形が出現すると相場は暴走するが、一旦相場が止まると大きな乱高下が起こりやすい」と経験則を述べたが、今週はこの懸念が的中し、大幅な往来相場が展開されている。

ここでの教訓は、トレンドが発生していてもボラティリティレベルが高い時は、相場が荒れ模様となりやすい。様子見なりポジションを縮小するなり、なんらかの防御が必要だということだ。

豪ドル/円(日足)ボラティリティレベルが高いままトレンドが発生(水色の部分)

上段:14週ADX(赤)・26週標準偏差ボラティリティ(青)
下段:21週ボリンジャーバンド1σ(緑)


(出所:石原順)

ポンド/円(日足)ボラティリティレベルが高いままトレンドが発生(水色の部分)

上段:14週ADX(赤)・26週標準偏差ボラティリティ(青)
下段:21週ボリンジャーバンド1σ(緑)


(出所:石原順)

ドル/円(日足)ボラティリティレベルが高いままトレンドが発生(水色の部分)

上段:14週ADX(赤)・26週標準偏差ボラティリティ(青)
下段:21週ボリンジャーバンド1σ(緑)


(出所:石原順)