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協調介入後の相場パターン
石原 順
外為市場アウトルック
数社の海外ファンド運用に携わる現役ファンドマネージャー・石原順のレポートです。相場の周期および変動率を利用した独自のトレンド分析や豊富な海外情報ネットワークを用いて、為替市場のい…

協調介入後の相場パターン

2011/4/8
数社の海外ファンドの運用を担当する現役ファンドマネージャーとして活躍する石原順氏による外国為替市場レポート「外為市場アウトルック」。お客様の投資のヒントにお役立てください。
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円相場の長期円高トレンドに大きな変化が起こりつつある。これまで40年以上にわたり長期的に円が買われてきた最大の理由は日本の「貿易黒字」である。3月・4月は日本が「貿易赤字」に転落することは必至の情勢である。場合によっては通年で貿易赤字となる可能性もあり、経済指標面からの円安に注目する海外ファンド勢も増えてきた。4月以降の日本の経済指標には注意が必要となろう。

貿易黒字という最大の長期円高要因がなくなる?


(出所:石原順)

日本の貿易収支 2005年1月~2011年2月


(出所:石原順)

日本のGDPの4割以上を占める首都圏の電力不足で、日本経済は長期停滞となる確率が高まっている。電力不足は数年にわたり続くとのになり、1年や2年では戻りそうもない。企業は個人と違い資本の論理で動くので、今後生産拠点を静かに海外に分散していくだろう。

また、原発の放射能漏れが続く中、企業の海外移転により空洞化(日本のシャッター商店街化)も懸念されている。現在の日本経済は、生産量縮小 → 所得縮小 → 消費縮小 → 生産量といった負のスパイラルがおきやすい環境にあり、安全通貨と言われた円を積極的に買う理由は、現在なくなってきている。日本経済を円高によって封じ込める国際政治的な動きもしばらくないだろう。

近年の為替市場の基本は金利差相場で動いている。しかし、今回の「円独歩安」は金利差相場に加えて、福島の原発事故を巡る日本政府の対応で日本に対する信頼感が大きく揺らいだことも円安要因となっている。簡単に言うと「日本売り」だ。「弱いところをついてくる」という市場の特性を考慮すると、それもあり得ない話ではない。

一本調子の円安はないだろうが、協調介入が行われたことで海外ファンドの中では円安相場への期待が高まっている。1995年の円売り介入、2000年のユーロ買い介入のいずれも協調介入は成功(一定の効果があった)しているという過去の事実から、円売りに勝算があると見ているようだ。

先週以降、ファンドの意見交換で最も話題に上がっているのが、協調介入後の相場パターンである。1995年は1月に阪神淡路大震災があり、4月に円が79円75銭の最高値をつけた後、円売り協調介入が行われた。今回は3月の東日本大震災後に円が76円25銭の最高値を付けた後、円売り介入が実施されている。1995年と2011年では16年もの時間が経っており、市場の環境も違うが、協調介入後の相場動向を観る上でなんらかの道標にはなるだろう。

1995年4月円売り協調介入後のドル/円相場(日足)1995年~1996年


(出所:石原順)

ドル/円(日足)1995年4月~5月


(出所:石原順)

1995年の相場パターンをなぞると、1ヶ月後に2番底(円高)が到来することになる。今年の4月中旬以降の相場がそのようなパターンになるかどうかはわからないが、もし円高になるなら押し目買いの好機となるとみている運用者は多いようだ。

現在、ドル/円相場は2007年高値からの長期抵抗線の攻防となっている。また、2010年高値から2011年3月の下げ幅の半値戻しを達成したことで動きが一服しているが、今年は88円・95円・100円といったフィボナッチの抵抗帯(リトレースメント)を試しにいくことも想定しておく必要があるだろう。円高見通しのファンド勢もまだ多いが、筆者は2011年3月17日のドル安値76円25銭は1971年からの円高波動のピークであった?可能性もあるのではないかと思っている。

ドル/円(日足) 長期抵抗線とフィボナッチのリトレースメント(抵抗線)


(出所:石原順)

円相場は久々に日足ベースでも円売りトレンドが発生している。しかし、現在の相場は簡単に言うと、1円稼ぐのに2円の損失を被るリスクのある、リスク/リターン比の合わない恐い相場なのだ。

筆者にとって何が問題かというと、問題は標準偏差ボラティリティが高い位置から十分な調整を入れずに、さらに上昇(チャート上段黄色の部分)していることだ。筆者の相場経験から言えば、こういった標準偏差ボラティリティの波形が出現すると相場は暴走するが、一旦相場が止まると大きな乱高下が起こりやすい。

「高値を買ってさらに高値を売る・安値を売ってさらに安値を売る」という順張りを得意とする筆者だが、流石にこの円相場の日足は追いかけにくい。ましてや値頃感でポジションをとるタイプの投資家にとっては、手の出ない相場と言えよう。

ドル/円(日足)標準偏差ボラティリティが高い位置からさらに上がっている

上段:14日ADX(赤)・26日標準偏差ボラティリティ(青)
下段:21日ボリンジャーバンド1σ(緑)・13日移動平均3%乖離線(青)


(出所:石原順)

豪ドル/円(日足)標準偏差ボラティリティが高い位置からさらに上がっている

上段:14日ADX(赤)・26日標準偏差ボラティリティ(青)
下段:21日ボリンジャーバンド1σ(緑)・13日移動平均3%乖離線(青)


(出所:石原順)

しかし、現在のような「円独歩安相場」を、指をくわえて見ているだけというのも芸がない。さて、どうするか?

答えは<1時間足>での順張り勝負だ。

ドル/円(1時間足)

上段:14時間ADX(赤)・26時間標準偏差ボラティリティ(青)
下段:21時間ボリンジャーバンド1σ(紫)


(出所:石原順)

豪ドル/円(1時間足)

上段:14時間ADX(赤)・26時間標準偏差ボラティリティ(青)
下段:21時間ボリンジャーバンド1σ(紫)


(出所:石原順)

ポンド/円(1時間足)

上段:14時間ADX(赤)・26時間標準偏差ボラティリティ(青)
下段:21時間ボリンジャーバンド1σ(紫)


(出所:石原順)

強いトレンドが出ているサインは、標準偏差ボラティリティとADXの2本のラインが一緒に上昇しているところである。具体的な売買注文のタイミングは、ボリンジャーバンドで判断する。1時間足チャートのローソク足がボリンジャーバンドの1σのラインを外側に飛び出したところがエントリー(新規注文)ポイントとなる。その際、必ず標準偏差ボラティリティとADXのラインの傾きをチェックしてトレンド相場期間であることを確認する。1時間足のローソク足が1σの内側に戻ったら、エグジット(返済注文)、すなわちポジションを手仕舞う。

標準偏差ボラティリティとADXでトレンドを判定し(トレンドの判定)、ボリンジャーバンドの1σでロスカットを設定(損失限定)し、相場が1σの外にある限り基本的に利食いはしない。相場が1σの外にある限り利益は伸びていくが、3月29日以降、この売買手法でかなりの値幅がとれる相場が展開されている。

<日足>の変動率が高すぎる(リスクが大きい)時は、<1時間足>で順張り勝負するのが筆者の戦術である。日足で恐くて相場に乗れなくても、<1時間足>なら日足に比べてリスクはずっと小さい。

ユーロ/ドルの動向については、ブログ『石原順の日々の泡』を参照されたい)

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