3月~4月と6月~7月期は歴史的に円相場が反転しやすい月であるが、新年度の4月に入れば円相場の方向性も見えてくるような気がする。もちろん、福島原発の事故対応の状況による相場変動には依然注意が必要だ。

激動の3月相場(今年も1年で一番動いた月となるのか?)も終盤に入ったが、2011年3月2日のセミナー「為替相場の転換ポイントがやってくる!?」 で述べたことの検証をしておきたい。

国際資金フローとドル相場の基本パターン


(出所:楽天証券セミナー資料)

先週末、プロッサー・フィラデルフィア連銀総裁が「FRBは近い将来、出口戦略が必要になるだろう」とコメントし、ドル高を促した。筆者はバーバンキFRB議長が量的緩和政策をそう簡単に放棄するとは思っていない。しかし、周りがごちゃごちゃ言うのはタダである。今後、こういった米国の出口戦略の観測が増えてくれば、ドルは6月に向けてリバウンド相場となる可能性が大きくなる。

チャートをみると、ドルインデックス・ドル/スイス・ドル/円は3月半ばで一旦底をつけた形となっている。3月でドルが底を付け、4月以降の相場がドル高トレンドに転換するかどうかはまだわからないが、その兆候が出ていることには注目したい。

ドルインデックス先物(日足)

上段:14日ADX(赤)・26日標準偏差ボラティリティ(青)
下段:21日ボリンジャーバンド1σ(緑)・13日移動平均3%乖離線(青)


(出所:石原順)

一方、今週のドル/円相場は全くの膠着状態に陥ってしまった。3月17日の76円25銭をドルのボトムとしてドル安方向への反転をみているが、投機筋の予想以上に上値の重い展開となっている。3月は日本の決算月なので円買い需要も多く機関投資家も動きにくいが、4月のドル/円相場の動きで方向性が見えてくると考えている。日足をみると14日ADXや26日標準偏差は調整中で、ボラティリティいずれにせよ、81円50銭か80円50銭のどちらかをブレイクしない限り、レンジ相場が継続されそうだ。

ドル/スイス(日足)

上段:14日ADX(赤)・26日標準偏差ボラティリティ(青)
下段:21日ボリンジャーバンド1σ(緑)・13日移動平均3%乖離線(青)


(出所:石原順)

ドル/円(日足)

上段:14日ADX(赤)・26日標準偏差ボラティリティ(青)
下段:21日ボリンジャーバンド1σ(緑)・13日移動平均3%乖離線(青)


(出所:石原順)

4月に利上げが噂されるユーロ/ドル相場も、ポルトガル(先週、ポルトガルの10年物国債利回りは一時8%を突破)やアイルランドの債務懸念が浮上し、週末に独のバーデン・ビュルテンブルグ州で行われた議会選挙では緑の党にメルケル首相率いる与党が敗北した。今後EUの金庫番であるドイツも難しい舵取りを迫られそうだ。4月~6月に大量の国債償還を控えてポルトガルの資金調達を懸念する声も出てきている。

ユーロ/ドル

上段:14日ADX(赤)・26日標準偏差ボラティリティ(青)
下段:21日ボリンジャーバンド1σ(緑)・13日移動平均3%乖離線(青)


(出所:石原順)

ユーロ/ドル(1時間足)

21時間ボリンジャーバンド1σ(緑)

積極的な投資家は1時間足でユーロ/ドルの順張りを行うのがよいだろう


(出所:楽天証券マーケットスピード)

以上のように、年初からのドル安相場にやや変化が出てきたが、筆者は4月相場がどうなるかを重視している。4月以降の相場がドル高に向かわない場合のシナリオについては、4月6日(水)のネット勉強会「為替相場の2つのシナリオ」で詳細を述べるので、ぜひご参加ください。