今回のレポートでは筆者の銘柄選択の方法の1つを紹介する。何も考えずに、ひたすら周期的にきれいなトレンドが出ている銘柄を探して取引するという手法である。

筆者にとって銘柄選択で大事なことは、「安定的な周期と標準偏差ボラティリティやADXがきれいな波形を描いている商品」を探すことである。その際、一番重要なポイントは標準偏差[26]のパラメータの波形が比較的わかりやすい波形を描いているか否かである。

筆者の取引において最も値幅のとれる日足の取引では、過去1年間を見てみると、ユーロ/ドルとドル/スイスの26日標準偏差ボラティリティが比較的わかりやすい波形を描いている。

ユーロ/ドル(日足)

上段:標準偏差ボラティリティ[26]
下段:ボリンジャーバンド[21,1σ]


(出所:石原順のオリジナルトレードツール)

ドル/スイス(日足)

上段:標準偏差ボラティリティ[26]・ADX[14]
下段:ボリンジャーバンド[21,1σ]


(出所:石原順のオリジナルトレードツール)

日足の26日標準偏差ボラティリティがシグザグのわかりにくい波形でも、5分・30分・1時間などの短期取引では標準偏差[26]のパラメータの波形がきれいなトレンドを描いている場合もある。相場はタイムフレーム(時間枠)を変えると、違う商品に変身するからだ。

標準偏差ボラティリティ[26]の波形がきれいな相場が見つかれば、あとはボリンジャーバンド[21]の1σの外だけで取引すれば、筆者の定義するトレンドフォロー売買の完成である。標準偏差ボラティリティ[26]の波形がわかりにくく不安定な周期となったときは、その商品はトレードしない。

米債が崩れてドルは買えない、格下げラッシュが続くなかでユーロも買えないという現在、ユーロが売られ、消去法的にスイスフランが買われている。直近の相場で「安定的な周期と標準偏差ボラティリティやADXがきれいな波形を描いている商品」の例として2つの例をあげておこう。ユーロ/豪ドル(30分足)とユーロ/スイス(1時間足)である。週足でも日足でも1時間足でも30分足でも標準偏差ボラティリティ[26]の波形がわかりやすい銘柄は、筆者にとってトレードする価値のある商品である。

ユーロ/豪ドル(30分足)

上段:標準偏差ボラティリティ[26]
下段:ボリンジャーバンド[21,1σ]


(出所:石原順のオリジナルトレードツール)

ユーロ/スイス(1時間足)

上段:標準偏差ボラティリティ[26]
下段:ボリンジャーバンド[21,1σ]


(出所:石原順のオリジナルトレードツール)

(11月から大手通貨ファンドがユーロ/スイスの売りを継続している)

上記のチャートは12月22日に発売になった「決定版★FXの公式」の付録のトレードツールを使っている。このトレードツールに、週足・日足・1時間足などの過去データをファイルに貼り付けて標準偏差ボラティリティ[26]の推移を観察すれば、どういう通貨ペアがトレンドフォローに向いていて取引しやすいのかがわかるだろう。

トレードツール 設定画面 [標準偏差 期間26