来週11月25日(木曜日)の感謝祭からクリスマスまでは長期休暇シーズンとなる。この休暇シーズンを前に、一斉にポジションの手仕舞いが行われているのが現在の相場の本質で、焼き直しのアイルランド問題(スペインに波及してくれば別だが…)だとか、米雇用統計の結果が影響を持って相場が動いているというのは、基本的に後講釈の相場解説である。

ユーロや円はこれまで買われすぎたから売られているのであり、日経平均株価はこれまであまりにも買われてこなかったので上がっているのである。いずれにせよ、「ファンドの決算や長期休暇シーズン前という需給だけの相場」なので、相場の上げ下げに深い意味を求めても仕方がない。

本日はバーナンキFRB議長がECB会合(フランクフルト)で講演を行う。米国では共和党が量的緩和反対運動を展開しており、今後の追加量的緩和は多少やりにくくはなっているものの、米国株が下がればまた量的緩和第3弾に踏み出すことになるだろう。1990年バブル崩壊後の日本の失敗(金融を引き締め)や1929年大恐慌後の米ルーズベルト大統領の失敗を研究し尽しているバーナンキ議長が、量的緩和路線を放棄することはありえない。

バーナンキFRB議長やダドリーNY連銀総裁の発言を聞いていると、「バーナンキ・プット」と呼ばれるネズミ講的な中央銀行バブルは、休憩(ガス抜き的な下げ)を挟みながらも、なかなか終わらないのではないかという気がしている。利上げ観測で中国株が売られているが、中国もバブルを完全に殺してしまうような政策(予定調和的な金融引き締めや人民元上昇はあるが)はとらないだろう。90年代の日銀の失敗をよく研究しているからだ。

現在の「手仕舞い相場」のなかで、ドル/円や日経平均株価が堅調な推移となっている。ドル/円に関して言えば8~9カ月周期の底を付ける時間帯なので、11月1日安値の80円26銭で周期的な底が入った可能性がある。

ドル/円(月足)周期底のシーズンが到来しているが…


(出所:石原順)

ドル/円(月足)60カ月移動平均線乖離バンド-20%(赤)・-30%(青)


(出所:石原順)

ポンド/円(月足)60カ月移動平均線乖離バンド-20%(赤)・-30%(青)


(出所:石原順)

先週のレポートにも書いたように、月足を見ると買われすぎの円の反動安に期待したいところだ。おそらくドル/円の84円半ばから85円のゾーンはドル売りが出てくるだろうが、来週木曜日の感謝祭までにどこまでリバウンドするかに注目したい。ただし、現在の需給相場が終わる感謝祭の相場トレンドは不透明で、あまり大きなポジションを持つに値するような相場ではないだろう。

ドル/円(日足)

上段:14日ADX(赤)・26日標準偏差ボラティリティ(青)
下段:21日ボリンジャーバンド1σ


(出所:石原順)

日経平均株価は200日移動平均線を支持に堅調な動きとなっているが、この動きも投機筋の買い戻し(手仕舞い)相場である。目先のリンバウンドのターゲットは10,400円と噂されており、この水準では一旦利食いが出るだろう。

日経225先物(日足)

上段:14日ADX(赤)・26日標準偏差ボラティリティ(青)
下段:21日ボリンジャーバンド0.6σ


(出所:石原順)

需給相場というのは、やりにくいものだ。現在、ドルインデックスを見てもユーロ/ドルを見ても強力なトレンドが出ている訳ではなく、基本的に筆者は様子見である。

ドルインデックス先物(日足)


(出所:石原順)

ユーロ/ドル(日足)

上段:14日ADX(赤)・26日標準偏差ボラティリティ(青)
下段:21日ボリンジャーバンド1σ


(出所:石原順)

クロス/円相場はもっと難解で、調整相場が続いている。ここから円相場のレンジが円安方向に切り上がっていくかどうかは、NYダウと上海株の動向次第であろう。クロス/円の上昇には株の上昇が必要である。

ユーロ/円(日足)

上段:14日ADX(赤)・26日標準偏差ボラティリティ(青)
下段:21日ボリンジャーバンド1σ


(出所:石原順)

NYダウ先物(日足)

上段:14日ADX(赤)・26日標準偏差ボラティリティ(青)
下段:21日ボリンジャーバンド0.6σ


(出所:石原順)

上海総合指数(日足)

上段:14日ADX(赤)・26日標準偏差ボラティリティ(青)
下段:21日ボリンジャーバンド0.6σ


(出所:石原順)