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相場が1σの外にある限り、利益は伸びていく
石原 順
外為市場アウトルック
リーマンショックの影響による景気回復に向けた歳出の増大が、世界中で財政赤字の拡大を招いた。政治家は財政再建をしなければならず、その結果、景気対策は中央銀行に押し付けられることにな…

相場が1σの外にある限り、利益は伸びていく

2010/10/15
数社の海外ファンドの運用を担当する現役ファンドマネージャーとして活躍する石原順氏による外国為替市場レポート「外為市場アウトルック」。お客様の投資のヒントにお役立てください。
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QE2(量的緩和第2弾)を巡って賛否両論の報道がされているが、市場が焦点としているのはQE2の規模であり、11月2日、3日のFOMCは相場の長期トレンドを占う上で大きな行事となるだろう。そうしたなか、本日はバーナンキFRB議長が「低インフレ下での金融政策の目的とツール」というタイトルの講演を行う。

本来、中央銀行の仕事は物価の安定というインフレ抑制だが、米国はドルをどんどん印刷してインフレ誘導している。意図的にインフレを起こそうとしているのだから、株もコモディティ市場も上昇している。ドルが下がるのは当たり前だ。

グリーンスパン前FRB議長が、2000年代半ばに長期間の低金利政策を続けたことで住宅バブルを引き起こし、サブプライム危機が起きたと批判されているが、このときはITバブル崩壊の景気後退を住宅バブルの創造で食い止めたという構図になっている。そして、サブプライム~リーマン危機を経て、FRBは長期金利押し下げのために米国債やモーゲージ債1兆7,500億ドルを買い入れたが「出口」が見えず、日本型デフレ回避を謳い、QE2(量的緩和第2弾)が行われようとしている。もう、何でもありの世の中になってきているので、何が起ころうと驚かないが、FRBの政策はデフレ回避という大義名分の「バブル飛ばし(損失先送り策)」である。これが成功するかどうかはわからない。

先週、ニューヨーク連銀のダドリー総裁とシカゴ地区連銀のエバンズ総裁は、「高いインフレ率を目指すことにより、現在の低インフレの状況を補うことが可能かどうかをFRBは検討すべき」であるとし、意図的にインフレを起こすというインフレターゲット導入を推奨している。ずいぶん前に、オバマ政権の経済顧問である大学教授が「巨額のレバレッジ(債務)を解消しなければいけないバブル収縮期に必要なことは、“意図的にインフレを起こし、債務の価値を減らす”ことだ」と発言していたが、その通りになってきた。

現在のFRBは日本型のデフレとの戦いの最中で、日本をはじめ世界中で債券バブルが起きている。しかし、中・長期的にはデフレの後に到来するインフレに注意しなければならない。グリーンスパン、バーナンキというFRB議長の長期にわたるインフレ軽視政策はどこかで副作用が出てきて、インフレ(コストプッシュインフレあるいはスタブフレーション)を誘発しかねないからだ。昨今のゴールドやインフレ連動債の上昇は、そうしたインフレ懸念を示唆している。

こうした米国のデフレ回避政策の下で、シンガポールドルの許容変動幅拡大や通貨安競争批判、菅首相と野田財務相の中国・韓国への為替介入批判などのニュースが飛び交い、市場も混沌としてきている。「日本政府が韓国の為替市場介入批判に踏み切ったことは、今年に入って韓国経済がうまくいっていることのほとんど知られざる理由を浮き彫りにしたといえる。韓国通貨ウォンが対円では下落していることだ」とWSJに書いてあったが、通貨安が韓国経済の原動力であることは、米国のデフレ懸念とマサチューセッツ・アベニュー・モデルに書いているので、そちらを参照されたい。

11月11日、12日に主要20カ国(G20)首脳会議が韓国のソウルで開かれるが、通貨安競争批判のなか介入はやりにくい。しかし、ドル/円が80.00円割れを試すような急激な円高となった場合、政府・日銀は介入に踏み切るのではないだろうか?

いずれにせよ、日本が本当に円高をとめようと思ったら、円高阻止の処方箋に書いたように、日銀のポートフォリオを拡大するしかない。10月4日の日経新聞『経済教室』-海外資産購入検討を-に「思い切って100兆円規模で海外資産を購入してはどうか」という提案がなされていたが、筆者も賛成である。こういった思い切った政策を実行しないと、日本の「ジリ貧」相場はなかなか終わらないだろう。

さて、外為市場の動向はドル安継続である、ユーロ/ドルと豪ドル/ドルは21日ボリンジャーバンド1σの内側に相場が入りそうで入らない。筆者は早く利食いしたい気分を抑えて、買いポジションを継続している。

標準偏差ボラティリティとADXでトレンドを見極め(トレンドの判定)、ボリンジャーバンドの1σでロスカットを設定する。(損失限定)そして、相場が1σの外にある限り利食いはしない。相場が1σの外にある限り、利益は伸びていく。(利益の極大化)筆者が知る限り、損を小さくして利益を大きく取るにはこの手法がベストである。トレンドを判定し、リスクを抑え、利益を極大化するのが、「Bollinger Bands 1σTrigger with STD(ADX)」のシステム設計思想である。

(●26日標準偏差ボラティリティ(青)と14日ADX(赤)が同時に上昇している期間が方向性のあるトレンド相場●エントリー(新規建玉)は相場が1σの外に抜けた時、イグジット(手仕舞い)は相場が1σの内側に入った時に行う)

ユーロ/ドル(日足)

上段:14日ADX(赤)・26日標準偏差ボラティリティ(青)
下段:21日ボリンジャーバンド1σ(緑)


(出所:石原順)

豪ドル/ドル(日足) ADXと標準偏差ボラティリティは既にピークアウト

上段:14日ADX(赤)・26日標準偏差ボラティリティ(青)
下段:21日ボリンジャーバンド1σ(緑)


(出所:石原順)

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