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円高リスクとその反転リスクを両方抱えた波乱含みの相場
石原 順
外為市場アウトルック
リーマンショックの影響による景気回復に向けた歳出の増大が、世界中で財政赤字の拡大を招いた。政治家は財政再建をしなければならず、その結果、景気対策は中央銀行に押し付けられることにな…

円高リスクとその反転リスクを両方抱えた波乱含みの相場

2010/8/20
数社の海外ファンドの運用を担当する現役ファンドマネージャーとして活躍する石原順氏による外国為替市場レポート「外為市場アウトルック」。お客様の投資のヒントにお役立てください。
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グローバルデフレ懸念がマーケットを覆っている。米10年国債の金利は2.5%台まで低下してきた。現在の国債バブルや米国債買いのロジックは日本型デフレをモデルとしているが、国債を保つリスクが過小評価されており、筆者の目には買われすぎに映る。

米10年国債金利(日足)


(出所:石原順)

市場の異常さやバブルを見つけることを得意とする「ブラック・スワン」の著者ナシーム・タレブは、国債崩壊を今年の2月ぐらいから予測しているが、現在のところ逆に動いている。(ナシーム・タレブはおそらくオプション市場で収益機会を探していると思われるが、彼がアドバイザーを務めるユニバーサのBlack Swan Protection Protocolは基本的に「テールリスク」に賭ける運用モデルで、相場の大変動が起こった1カ月間で儲けるファンドである)ドル相場は基本的に米国債の金利次第なので、今後、米国債の買われすぎの反動(利回り上昇→ドル買い戻し)には注意したい。

昨日のニュースでは、ソロスファンドで1992年のポンド危機を仕掛けたドラッケンミラーの引退が報道されたが、リーマン危機後の予測困難なマーケット状況は、グローバル・マクロ・ファンドを苦しめているようだ。ヘッジファンドも何期目かの新しい時代に入っており、1990年半ばまでのようなスター・プレーヤーによる腕力相場が通用する時代ではなくなった。

ソロスやポール・チューダー、あるいはジュリアン・ロバートソンのタイガーといった大物ファンドが大暴れしている時代であれば、現在のドル/円相場はもっと大きく動いているだろう。「8月は円高の月」「ドル/円は15年ぶりの円高水準」と、世間は大騒ぎしているが、今月(8月)のドル/円相場の変動幅はたった2円10銭程度である。

ドル/円相場は、昨年の11月安値84円88銭を今月の相場で下回ったので、長期的に円は95年4月高値79円75銭を目指すことになる可能性が高い。しかし、直近の相場のテクニカルは目先の円高を否定する指標が多い。

ドル/円(日足)1993年~2010年


(出所:石原順)

まず、目先の相場はRSIやMACDとの逆行相場が続いており、円高相場に力強さがない。この逆行現象は1カ月半も続いており、そろそろ相場の反転リスクにも注意が必要といえよう。

ドル/円(日足)とRSI・MACDの推移


(出所:石原順)

また、60カ月移動平均線乖離バンドの-20%ラインに相場が到達しており(昨年12月に筆者がドル/円の逆張りを行った水準である)、一旦、円安に反転してもおかしくない局面にある。

ドル/円(月足)60カ月移動平均線乖離

10%乖離(緑)・20%乖離(青)・30%乖離(赤)


(出所:石原順)

最後は先週のレポートに書いた「ドル/円の介入レベル」であるが、この水準を考えると、円高のノリシロも4~5円程度であろう。

ドル/円(日足) 過去の介入実績と100日移動平均-10%乖離線(赤)


(出所:石原順)

円と米長期国債が買われすぎているリスクを考えると、今年の8月は「円高の月」と言うより、「円高リスクとその反転リスクを両方抱えた波乱の月」と言えるだろう。

ドラッケンミラーは「ファンド運営は仕事としても個人的にも負担になっている。これ以上続けられない」と述べて、運用の世界から去っていった。ナシーム・タレブは「金融トレーダーの仕事は権威からの独立と自由を得る手段」と述べている。結局、相場をやるかやらないかは生き方の問題であるが、信じられないほど儲かったらやめるのが一番良い。

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