平均足

平均足の作者は生糸相場で膨大な利益を上げた相場師と云われている。ローソク足には酒田五法などのパターン分析があるが、その難易度は高い。ローソク足は陰線と陽線がランダム(無秩序・不規則)に出現するので、相場の明確な方向性を読みにくい。ローソク足の不規則なノイズを取り払って相場の方向性を知るために作られたのが「平均足」である。
陽線と陰線に連続性があるので、相場の流れを読むのに適している。

平均足は「陽線は買い、陰線は売り」という単純明快なローソクチャートである。相場に方向性がなく、もちあい相場の時は平均足の上下にヒゲ足ができる。相場に方向性が出てくるとローソクの胴体部(陽線・陰線の部分)が大きくなる。

陽線は買い・陰線は売り

平均足には、

  • 前日の実体(ローソク)より短い実体(ローソク)は変化の兆し
  • 十字足に近い線(実体が短く上下にヒゲがつく)は変化の兆し
  • 陽線+上ヒゲ は強い買い示唆
  • 陰線+下ヒゲ は強い売り示唆
  • 陽線でも下ヒゲが長いと弱気相場
  • 陰線でも上ヒゲ が長いと強気相場

という傾向があるが、筆者は「「陽線は買い、陰線は売り」という単純な判定以外は重視していない。

陽線+上ヒゲ は強い買い示唆・陰線+下ヒゲ は強い売り示唆
十字足に近い線(実体が短く上下にヒゲがつく)は変化の兆し

1時間足、日足など、どのようなタイムフレームで取引を行おうと、“移動平均線に傾きのないとき”は平均足の判定も無視したほうがよい。平均足の醍醐味は相場のトレンドを取ることにあるが、相場が横這いの保合(もちあい)局面では平均足も役に立たない。

平均足(上段)とボリンジャバンド(下段)

ATR(アベレージ・トゥルー・レンジ)

ATR(アベレージ・トゥルー・レンジ)とは、「当日高値-当日安値」「当日高値-前日高値」「前日終値-当日高値」のうち最大の値幅(マド明けを含む最大値幅の計測)を当日の「真の値幅(トゥルー・レンジ)」と呼び、この「真の値幅」の一定期間の移動平均線がATR(アベレージ・トゥルー・レンジ)である。筆者はATRの移動平均の日数に「20日」を使用している。(楽天FXの初期設定は14日)

ドル/円およびクロス円市場は“円の上昇時に変動幅が拡大し、円の下落時に変動幅が縮小する”という傾向を持っている。(特に変動幅縮小の過程では円安になりやすいというのが円相場の特徴である)ドル/円やクロス円通貨は、ATR(アベレージ・トゥルー・レンジ)が下がる過程で円安、上がる過程で円高となるパターンが多い。ATRが上昇傾向にある期間では、円の売り放置やキャリートレードはリスクが高くなる。(注:ATR下落傾向でも円高トレンド、ATR上昇でも円安トレンドが発生することはよくあるので過信は禁物である)

ATR上昇は円高警報! 大きな円高トレンドはATRの上昇期間に発生している。

通常、ATRは相場のリスクを計測するツールで、システムトレーダー(機械的に取引する人)がストップロス(損切り)やプロフィットカット(利益確定)の目安として使っているツールである。マーケットスピード Ver8.2ではATRの値が画面の右下に表示される。

日足ベースのスウィング・トレーダーは持ち値から2ATR(ATRの2倍)離したところに損切り注文を置くのがよいと言われている。「2ATRの損失額が1回の取引で証拠金の2%以下になるようにポジション金額を決める」のが、マネー・マネージメント(資産管理)の教科書的なルールである。

筆者は20日ATRを好んで使っているが、一般にATRは考案者であるワイルダーの14日を使う人が多く、トレードで使用している移動平均のパラメータを使う人も多い。日計り専門の短期取引者(デイ・トレーダー)は最大でも、ATRの半分のリスク(1/2ATR)しかとらないのが普通である。

上記の「平均足」および「ATR」による相場の認識方法および取引手法は、石原順個人の見解であり、収益を保証するものではありません。ご投資に際しては、ご自身の責任で投資判断を下されますよう、お願い申し上げます。