1月の新興株<マザーズ、ジャスダック>マーケットまとめ

 絶望感すら覚える歴代最悪級の悪地合いとなった1月の新興株市場。1月の月間騰落率は日経平均株価▲6.2%、TOPIX(東証株価指数)▲4.8%、日経ジャスダック平均▲6.8%と全ての指数が下げましたが、マザーズ指数は▲23.3%と目を剥く数値に。昨年末にかけて崩れた2021年の年間騰落率が▲17.4%でしたので、それを1カ月で凌駕(りょうが)する価格破壊が起きたことになります。

 この月間下落率は、過去を振り返っても数えるほどしかありません。マザーズ指数算出来でいえば、リーマンショックの2008年10月の月間▲25.7%、バーナンキショックの2013年6月の同▲25.5%に次ぐ史上3番目でした。

 ロジックとしては、バーナンキショック(2013年5月23日の急落が起点)の2013年6月と似ているといえます。あのときはQE3(量的緩和第3弾)の巻き戻し示唆で市場が混乱したのですが、今回はQT(金融引き締め)の時期や幅に対する思惑錯綜(さくそう)で市場が混乱しました。

 3月FOMC(米連邦公開市場委員会)での利上げを市場は織り込んできたはずですが、債券市場が年替わりと共に強く動き始めた(米長期金利が上昇)ことに株式市場も共鳴します。

 年が替わる、という転換点にあって、株式市場で起きたのが「大規模なポートフォリオ見直し」の動き。金利の先高感に対する防衛策的に、バリュエーションの高いグロース株を売り、一方で低PBR(株価純資産倍率)のバリュー株を買う…露骨な展開に慄き、マザーズ銘柄は完全に前者ですので「売り」になります。

 ただ、損出し売りやIPO(新規公開株)ラッシュで前月下げていたこともあり、下がったところを逆張りで買う個人投資家も多かった…これも裏目に出ました。

 昨年12月に付けた前年安値を割り込むと、24日には節目の800ポイント割れ。下げても下げても、広がるのは“値ごろ感”だけで、割安感は生まれない市場。その中で、セリング・クライマックスか? と見せて、その安値を翌日割り込むサイクルに陥り、「米長期金利が上がったから」という問題を超越していきます。

 ちなみに、マザーズ指数が前日比3%以上の下落率になる大幅安デーが、1月だけで計7回。週2ペースでセリング・クライマックスのダマシが発生したことになります。完全に、マザーズ独自の需給悪化が信じられない安値まで掘り下げた原因でしょう。28日に付けた719ポイントが今のところ安値にはなっていますが、ここが安値と言えるバリュエーション的な根拠もなく…。