2024年3-8月期はマイナス16.2%の営業減益

 イオン(8267)は9日、2024年3-8月期(2025年2月期の上期)の決算を発表しました。

イオン連結企業業績:中間決算実績と2025年2月期通期会社予想

出所:イオン決算短信より楽天証券経済研究所作成

 上期営業利益は前年同期比16.2%減の986億円でした。人件費・電気代・物流費などコストが上昇する中、売上総利益を十分に伸ばすことができず、会社想定を下回る利益となりました。GMS(総合スーパー)部門が82億円の営業赤字に転落しました(前年同期は35億円の営業黒字)。

 ただし、今期(2025年2月期)通期の業績予想を据え置きました。下期に挽回し、通期で営業最高益を更新する予想を維持しました。実現すれば、営業利益は7.6%増の2,700億円と、2期連続で最高益を更新する予想です。

イオンの連結営業利益推移:2020年2月期-2025年2月期(会社予想)

出所:QUICKより作成

 通期の業績予想を達成するのは、やや困難と考えられます。インフレの進捗(しんちょく)で消費者の購買意欲が低下し、値下げしないと購買意欲を刺激できない環境が、下期も続く可能性があるからです。イオンの今期営業利益(市場予想)は前期比3.2%増の2,587億円と最高益を更新するものの、会社予想(2,700億円)には届かない見通しです。

 ここで、前期からの営業利益の推移を、簡単に振り返ります。

【1】前期(2024年2月期)は営業最高益更新

 前期はコロナからの回復が本格化するタイミングで、長年にわたって取り組んできた収益力・競争力強化の構造改革効果が出て、営業最高益を更新しました。

 前期はイオンのビジネスの本丸といえる、イオンリテール(GMS事業とスーパーマーケット事業)の収益改善が顕著でした。プライベートブランド品の販売拡大による粗利(売上総利益率)改善、店舗運営改善によるコストカット、インフレの恩恵が効いていました。

【2】今上期(2024年3-8月期)はイオンリテールが一転して減益に

 前期好調だったイオンリテールが減益となりました。GMS(総合スーパー)が営業赤字となりました。一方、前期まで不振だった、金融(カード・銀行)、不動産(テナント収入)が回復して、全体の利益を支えました。