※このレポートは、YouTube動画で視聴いただくこともできます。
著者の土信田 雅之が解説しています。以下のリンクよりご視聴ください。
「米国株の強気は「ホンモノ」か?~まだ上昇できるが、次のハードルも控える~」
今週の国内株市場ですが、日経平均株価が週初の7日(月)に3万9,000円台を回復しながらも、その後は株価の上げ下げを繰り返しており、これまでのところ、方向感に欠ける展開となっています。4万台を射程圏内に捉えてはいますが、なかなか上値をトライしきれない格好です。
また、国内の政治面では、今週9日(水)に衆議院が解散し、15日(火)の公示、27日(日)の投開票といった慌ただしいスケジュールの中、いよいよ「選挙モード」に突入します。
以前のレポートでも指摘したように、相場の経験則(アノマリー)では、選挙期間中の日経平均は上昇する傾向がありますが、今回の解散については、かつての「郵政解散(2005年8月)」や、「アベノミクス解散(2014年11月)」のように、政策面に論点のスポットライトがあまり当たっていないこともあって、足元の日本株市場は国内の材料よりも、海外株市場の動きに影響を受けやすい状況となっています。
経済政策の思惑に揺れる中国株
では、その海外株市場の様子を確認していくと、先日に金融政策を中心とした経済対策の発表を受けて急上昇していた中国株市場が動揺しています。
国慶節の休場明けで今週から取引が再開した上海株市場では、8日(火)の上海総合指数が上昇したものの、ローソク足の形が大きな陰線(終値が始値よりも安い線)だったほか、翌9日(水)には下落に転じており、同指数の連騰記録が10日間でストップするなど、「金融政策のインパクト」はひとまず一服した格好です。
<図1>上海総合指数(日足)の動き(2024年10月10日時点)
この8日の株価の動きをもう少し詳しく見て行くと、取引開始直後の上海総合指数は一段高となっていたのですが、結局この日の始値が高値となり、その後は上げ幅を縮小して行く動きとなりました。
その理由として、この日に中国国家発展改革委員会が、インフラ整備など公共投資の前倒しと、生活弱者への直接支援する計画を示したものの、「年間の経済成長目標の達成に十分な自信を持っている」として、追加の財政政策が見送られたことが挙げられます。
「近いうちに大規模な財政面での政策が打ち出されるのでは?」といった期待が裏切られた格好ですが、こうした株式市場の反応を受けてか、今週末の12日(土)に中国財政省が財政刺激策について説明する予定となり、10日(木)の株価は少し持ち直しています。
そのため、今週末の中国財政省の発表内容次第で、来週明けの中国株市場が再び上昇基調に戻せるのかどうかの分岐点になりそうです。