米国第3四半期決算発表シーズンの総括
2024年第3四半期決算発表シーズンはS&P500指数採用企業の4分の1が決算発表を終えました。決算を発表した企業の79%が売上高で事前予想を上回りました。これは過去10年の平均の74%より良い成績です。一方売上高では64%が事前予想を上回りました。これは過去10年の平均と一致しました。つまり今決算シーズンは大体順調だということです。
好決算を尻目に今年、来年のコンセンサスEPS予想は下がっている
ところが足元の好決算を尻目に今年、来年のアナリストのコンセンサス予想は下がり始めています。工業、ヘルスケア、エネルギーセクターにおける予想の下方修正が原因です。工業セクターに関しては米国経済が全体として堅調な中、ここだけがスランプに陥っています。
ヘルスケアのEPS(1株当たり純利益)予想が下がっている理由はイーライリリー(ティッカーシンボル:LLY)が減量薬ペン型ゼプバウンドの発売に合わせ投与量を小さくすると同時に販売価格を大幅に引き下げたことで短期でのEPS予想が下がったことが関係しています。
エネルギーセクターはこのところの原油価格の低迷がEPS予想の下がった原因です。
結果として2024年のS&P500のEPSは$239.46、2025年は275.47になりました。これは前年比でそれぞれ+8.8%、+15%の成長になります。
向こう12カ月のEPSに基づいたS&P500指数のPER(株価収益率)は約22倍です。これは過去10年の平均18倍に比べると少し割高です。
今回の決算で目立った点
今回の決算発表ではJPモルガン(ティッカーシンボル:JPM)、ゴールドマン・サックス(ティッカーシンボル:GS)、モルガン・スタンレー(ティッカーシンボル:MS)などの投資銀行が株式トレーディングの好調で良い決算を出しました。
航空株ではユナイテッドエアラインズ(ティッカーシンボル:UAL)の好決算が目立ちました。
ネットフリックス(ティッカーシンボル:NFLX)はコンテンツの魅力で新しいサブスクライバーを集め危なげない決算を出しました。
その中で半導体製造装置メーカー、ASML(ティッカーシンボル:ASML)は誤って1日早く決算リリースをWebサイトにUPしてしまう失態を演じました。しかもその内容が「あっ!」と息を呑む悪い内容で投資家を混乱に陥れました。EPSは予想5.36ユーロに対し5.28ユーロ、売上高は予想78.7億ユーロに対し74.7億ユーロという感じでそれぞれ事前予想に届かなかっただけでなく、新規受注が予想50億ユーロの約半分の26億ユーロにとどまりました。インテル、サムスンなどの顧客が発注を先送りしたのが原因だと言われています。
今後の決算発表予定
今後の決算発表ですが10月28日の週はとりわけ重要だと思います。その理由は29日(火)引け後にアルファベット(ティッカーシンボル:GOOG)、30日(水)引け後にマイクロソフト(ティッカーシンボル:MSFT)ならびにメタ・プラットフォームズ(ティッカーシンボル:META)、ハロウィーンに当たる31日(木)引け後にアップル(ティッカーシンボル:AAPL)とアマゾン(ティッカーシンボル:AMZN)が決算発表する予定だからです。
その翌週の11月5日(火)はいよいよ大統領選挙本投票日になります。
つまりこの期間は相場撹乱(かくらん)要因となりうる材料が目白押しなのです。それに照らして投資家にはやや慢心が見られると思います。