物価高は「2段構造」で起きている

 前回の「物価高の正体は○○○!「千と千尋の神隠し」に心構えを学ぶ」で述べたとおり、「物価高」の根本原因は、「【黎明期】の脱炭素」だと筆者は考えています。

 温室効果ガス排出量の大幅削減に成功した上で、経済成長の恩恵を享受する「【成熟期】の脱炭素」ではありません。

 筆者は2030年から2050年ごろ(SDGsやパリ協定の期限)に、脱炭素が【成熟期】に達していると信じています。しかし今は、まだその時期ではなく、【黎明期】ゆえ、以下の文脈で、「脱炭素」が物価高の要因になっていると考えています。

図:黎明期の「脱炭素」とインフレ(物価高)

出所:筆者作成

 また、以下は、「【黎明期】の脱炭素」を含んだ、足元の物価高、金融引き締め、暗号資産と主要株価指数の動きの関係です。「最上流」に「【黎明期】の脱炭素」と商品個別の上昇要因が位置します。

図:足元の物価高、金融引き締め、暗号資産と主要株価指数の動きの関係

出所:筆者作成

 足元の「物価高」は、「【黎明期】の脱炭素」と商品固有の上昇要因の2段構造で発生していると考えられます。目に留まりやすい、OPECプラスの産油量や産油国の地政学的リスクなどの状況だけで、足元の物価高を説明することはできません。

 今後、「脱炭素」がどういったタイミングで【黎明期】から【成長期】そして【成熟期】に移行するのか、長期的視点で見守っていく必要があります。【黎明期】のままの場合、今と同様、「脱炭素」は「物価高」の一因であり続ける可能性があります。