脱炭素はいつ【黎明期】を脱するのか?

 一見すると「脱炭素」は、世界の気候変動や経済情勢を改善させる好ましいテーマに見えますが、こと【黎明期】の場合は、必ずしもそうとは限りません。

 先述のとおりエネルギーや農産物、金属の価格を押し上げてインフレ(物価高)懸念を強めるだけでなく、企業に脱炭素に対応するためにばく大なコストを迫ったり、国家や企業間の主導権争いや利害を巡る対立を噴出させるきっかけになったりするためです(一部では起きている)。

 脱炭素はいつ【黎明期】を脱するのか? という問いに対して、具体的に明言できる人はおそらくいないでしょう。

 強いて言えば、大容量バッテリーの流通(リサイクルも含む)、走行距離、出力、動力源となる電力のクリーン化などの問題が解消して、EV(電気自動車)がガソリン車やディーゼル車と半分程度置き換わったり、パソコンやスマホなどの身近な電子製品にプラスチックが石油を使わない植物由来などの代替品におおむね置き換わったりして、われわれ一般の人々の生活環境に根底からの変化が見えて始めて、「脱炭素」は【黎明期】を脱し【成長期】に移ったと言えるのではないでしょうか。

 そうなるまで、「脱炭素」は、程度は変化すれども「物価高」の一因として、社会に影響を及ぼし続ける可能性があると、筆者は考えます。

[参考]コモディティ関連の具体的な投資商品例