OPECプラスも価格引き上げ支持

 以下のグラフは、OPECプラスの原油生産量と生産量の上限のイメージです。現在、OPECプラスは原油の減産実施期間にあり(毎月生産量の見直しをしながら、今年の12月まで減産を継続する予定)、昨年夏以降、毎月一定量ずつ生産量の上限を引き上げ、それに準じ、実際の生産量を増加させています。

 OPECプラス…サウジ、イランなどのOPEC加盟国13カ国と、ロシア、カザフスタンなどの非加盟国10カ国、合計23カ国で組織する産油国のグループ(2022年1月現在)。

 OPECプラスは、少しずつ増産をしているのですが、減産期間中であるため、過剰な増産はしていません。昨年何度も、消費国側から原油価格の上昇を抑制するために、増産要請を受けましたが、はねのけてきました(増産はしている。それ以上の増産はしない)。

図:OPECプラスの原油生産量と生産量の上限 単位:千バレル/日量

出所:ブルームバーグのデータおよびOPECの資料をもとに筆者作成

「脱炭素」が【成長期】、そして【成熟期】になるころには、世界全体の温室効果ガスの排出量は今よりも格段に減少していると考えられます。このことは、「脱炭素」が成長するにつれて、世界の石油の消費量が減少していくことを示唆しています。

 こうした「脱炭素」の成長イメージがある以上、OPECプラスが「長期的視点で、石油が使われなくなる時代が来るのであれば(輸出量がいずれ減少するのであれば)、原油相場(単価)を引き上げなければならない」と考えるのは、自然なことでしょう。

 こうしたOPECプラスの思惑が、世界の石油の需給バランスを緩めない(過剰な増産をしない)、大きな要因になっていると、考えられます。

 米国は自国の「脱炭素」の潮流が、OPECプラスは世界全体の「脱炭素」の潮流が、それぞれ供給を制約する事案になっていると言えます。