2万7,500円付近が押し目買いの水準として意識される

 それでも、週末にかけての日経平均は陽線が2本続くなど、一応の「粘り腰」も見せ、2万7,500円付近が押し目買いの株価水準として意識されているようです。この2万7,500円は前回のレポートでも紹介した「下値ゾーン」の範囲内です。

■(図2)日経平均(日足)の動き その2(2022年1月21日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 下値ゾーンとは、上の図2を見ても分かるように、昨年の日経平均が下げ止まった株価が集中している価格帯のことを指します。

 先週の下落によって、日経平均は昨年8月下旬から形成してきた「三角もちあい」を下放れしてしまいました。

 この下値ゾーン内で踏みとどまることができれば、相場の持ち直しが期待できる一方、下値ゾーンを抜けてしまうと、今度は昨年2月16日の高値を起点とする、下向きのチャネルラインの範囲内に足を踏み入れることになり、もう一段階、株価水準を引き下げるシナリオが濃厚となります。

 仮に、今週もこのまま株価が下げてしまった場合の目先の下値メドについては、前回紹介したエンベロープが参考になりそうです(下の図3)。

■(図3)日経平均(日足)のエンベロープ(25日移動平均線)(2022年1月21日時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 ここ数年の日経平均の値動きの特徴として、普段は25日移動平均線からプラスマイナス3%の範囲内で動くことが多く、相場が大きく動く局面では、その範囲がプラスマイナス6%あたりまで拡大するという傾向があります。

 上の図3のように、直近1年間でみても同様の傾向が読み取れます。

 先週末21日(金)時点の25日移動平均線の値が2万8,506円でしたので、現時点でマイナス6%まで下げが進んだ場合の株価は2万6,795円となります。もちろん、この値は日々変化していきます。

 前回のレポートでは、「米国の金融政策の正常化をめぐる要人発言に振り回される状況が一服するため、株価は反発しやすい展開になりそう」、「少なくとも米長期金利が1.8%超えを目指すような動きにならない限り、金融市場はいったん落ち着きを取り戻しそう」としていましたが、先週の値動きとチャートの形状を見る限りその結果はこうした想定とは反対のものとなってしまいました。