米国株も大きく下落。短期反発ねらいなら押し目買いのチャンス?

 とりわけ、米長期金利については、1.9%台に乗せる場面があるなど、急ピッチな米金融正常化による「オーバーキル(過度な引き締めがもたらす景気後退懸念)」の警戒が思っていたよりも高まっている印象です。

 実際に、米国株市場も週間でNYダウ(ダウ工業株30種平均)が4.58%安、S&P500が5.68%安、NASDAQが7.55%安と大きく下落しています。

■(図4)NYダウ(日足)の動き(2022年1月21日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 NYダウは、1月5日の最高値更新後に伸び悩んでいましたが、先週になって50日移動平均線を下抜けしてから一気に下げ足を速めました。同様の傾向は昨年11月8日に高値を更新した時にも見られました。

 しかも、それぞれの下値がほぼ1本のラインで結ぶことができますので、足元で株価が反発する期待感が残されています。

 ただし、できるだけ早い段階で50日・25日移動平均線を回復する必要があるほか、この2本の移動平均線が下向きとなっているため、「とりあえず、移動平均線までの戻りはありそうだが、その後の株価の戻りが長続きしないかも」ぐらいの展開を想定しておくのが無難かもしれません。

 NYダウについては、中長期的にも踏ん張りどころに差し掛かっています。

■(図5)米NYダウ(週足)の動き(2022年1月21日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 NYダウを週足チャートで見ると、先週のローソク足が大きな陰線を形成し、13週・26週・52週の移動平均線を跨ぐ、「3本下抜け」の格好となっていて、下方向の意識を強めています。

 チャートを過去にさかのぼると、2020年の10月末にも3本下抜けの場面がありましたが、当時は翌週の株価が大きく反発して、それぞれの移動平均線水準を回復したため、相場の上昇トレンドが継続する展開となりました。

 今回も同様の展開となるのが理想ですが、回復までに時間がかかったり、移動平均線が抵抗(レジスタンス)として機能してしまうと、中長期的な株価の下落トレンドを描き始めるシナリオが浮上することになってしまいますので、株価が反発した時の勢いも試されることになります。

 そのため、短期反発ねらいであれば、押し目買いのチャンスと捉えることもできそうですが、反発後に再び下落に転じる可能性も低くはなく、中長期の投資スタンスならば、慌てずにいったん買いを見送るのもアリかもしれません。