先週の結果

日経平均は週前半、米中株安で一時2万7,293円まで下落、終値では2万8,000円台回復

 先週の予測では、米国株の反発と新内閣の人事への期待があれば、日経平均の戻りを期待できるとするものの、その前提にはチャートで、75日移動平均線(1日時点2万8,624円)、200日移動平均線(1日時点2万8,669円)を守れるかどうかとし、守れれば戻りを試し、守れなければ一段安となって、戻りに時間を要するとしました。

 結果的には、週半ばまでは米株式が大幅下落となり、これに追随して日経平均も直近の移動平均線をことごとく下に切る動きとなりました。この理由は、中国の不動産大手の恒大集団問題が不透明なまま、さらに天然ガス価格急騰から電気問題が加わり、そして米国ではインフレ懸念から長期金利の上昇が止まらず、連邦債務上限引き上げ問題も不透明なままだったことによるものです。

 しかし、週半ばになると米国の長期金利上昇が一服し、債務上限引き上げ問題も短期的には解決してNYダウが戻りに転じたことで、日経平均は週後半の7日(木)から反発に転じ、8日(金)の週末は一時+643円の2万8,321円まで上昇し、終値は+370円の2万8,048円でした。

 先週は、週半ばまでは世界同時株安が続き、日経平均は10月6日(水)には2万7,293円と2万7,500円を割り込み、終値では2万7,528円と8日続落となりました。8日続落は2009年7月の9日続落以来、12年ぶりの連続安でした。

 これは、米中を中心にした世界株安に巻き込まれた動きです。

 具体的には、中国の不動産大手の恒大集団のデフォルト懸念問題と米国のインフレ懸念に加え、連邦債務上限の引き上げ問題です。

 まず、中国の恒大集団については、約33兆円といわれる巨額債務を抱え資金難不安に揺れる恒大集団は、香港取引所が4日に売買を停止しました。恒大集団の社債がデフォルトに陥ると金融市場が混乱するためです。当面、中国の株式市場は不透明感が漂うことになります。

 次に米国の債務上限問題は、引き上げされなければ10月18日以降にも連邦政府の資金がなくなり、デフォルトに陥る恐れがありました。しかし、6日に債務上限問題が12月まで延長されることになり、NYダウは7日(木)まで続伸となり、日経平均も7日(木)から9日ぶりの反発となりました。

 また、米国のインフレ懸念も急速に高まっています。8月の米消費者物価指数は、前年同月比+5.3%とFRBの目標の2%を上回り、8月の個人支出も前年同月比+4.3%と30年ぶりの水準となっています。

 これは、新型コロナ対策で国民に自由に使える資金を提供した結果ですが、今後、この出口がどうなるのか注意が必要です。

 また、11月からテーパリング(量的緩和の段階的縮小)が始まって量的緩和縮小に踏み出すことになります。このため、米金融政策が転換点を迎えることになり、株式市場の波乱を呼んだ格好になっているとの見方もあります。

 ただ、金融政策の転換による調整は、当然の一服場面であり、基本的には金融政策は今後も続くために、相場の上昇基調が崩れたわけではないとの見方もしています。

 週末8日(金)の日本市場の引け後の米国市場は、主要3指数とも小幅反落でした。

 NYダウは、ほぼ横ばいで▲8ドルの3万4,746ドルでした。注目の9月米雇用統計は強弱まちまちとなりました。

 非農業部門雇用者数は、予想を大きく下回りましたが、一方で8月分は上方修正されました。また、失業率は2016年以来の4.8%と低水準でした。

 原油は一時80.00ドルと2014年11月以来の水準となっており、インフレ要因が高まっています。