不可逆的テーマは複雑化に強い。「脱炭素」関連銘柄、銀、プラチナ、排出権に注目

 この20年間で、市場は、単純さを旨とする「過去の常識」では分析しきれない状態に変化した、市場やそれを含む世の中全体の「複雑化」がその原因とみられる、と書きました。こうした状況で、どのような銘柄選択のアイデアがあるでしょうか。

「市場や世の中が複雑化しても変わりにくいもの」に着目することが、一つの方法であると考えられます。変わりにくいもの=不可逆的テーマ(後戻りしないテーマ)と、考えれば、まさに今、そして向こう数十年間、人類が維持し続けるだろう「脱炭素」に、直接的に(間接的ではなく)関わる銘柄です。

 太陽電池の普及に貢献する可能性がある「銀」(目下、当該需要は増加中)、クリーン水素(温室効果ガスを発生させずに得られた水素)の普及に貢献する可能性がある「プラチナ(白金)」、そして、温室効果ガスの排出権を融通し合う際に役立つ「温室効果ガスの排出権」です。

 銀と太陽電池の関係は「太陽電池と中国株と銀(シルバー)の関係に注目」、プラチナとクリーン水素の関係は「なぜ下がらないプラチナ価格!?将来、「水素社会」の必需品になる可能性も」をご参照ください。

 現時点で、個人投資家の皆さまが容易にアクセスできる銘柄は、銀とプラチナでしょう。世の中が複雑化しても、人類が「脱炭素」を諦めない限り、当該テーマに関連する需要は増加する可能性があり、それにともない、これらの銘柄の価格は、超長期的に上昇する可能性があると、筆者は考えています。

「複雑化」した市場・世の中であるからこそ、こうした不可逆的テーマに直接的に関わる銘柄は、超長期的に見て強い、と考えます。

図:「複雑化」に強いとみられる、不可逆的テーマ「脱炭素」に直接的に関わる銘柄

出所:筆者作成

 あのテロから20年の間に、大きく変貌を遂げた市場や世の中の情勢を確認し、今後の市場を展望する上での留意点に触れ、筆者が考える超長期的に注目できそうな銘柄を紹介しました。本レポートが、皆さまの参考になれば、幸いです。

[参考]銀関連の具体的な投資商品

銘柄名 ティッカー 概要
ジンコソーラー・ホールディング JKS 中国の太陽電池関連企業
隆基绿能科技 (ロンジ・グリーン・エナジー) 601012
ファースト・マジェスティック・シルバー AG カナダの銀などの生産会社
メキシコなどの鉱山の採掘権を持つ
エンデバー・シルバー EXK
フォルトゥナ・シルバー・マインズ FSM
パン・アメリカン・シルバー PAAS
ガトス・シルバー GATO 米国の銀などの生産会社
iシェアーズ・シルバー・トラスト SLV 銀価格に連動する設計の
ETF(上場投資信託)
純銀上場信託(現物国内保管型) 1542
WisdomTree 銀上場投資信託 1673
銀積立価格   銀の現物価格
銀先物価格(国内)   OSEで売買される銀先物の価格
銀先物価格(海外)   CMEで売買される銀先物の価格
出所:楽天証券のウェブサイトをもとに筆者作成

[参考]貴金属関連の具体的な投資商品例

 楽天証券の純金積立「金・プラチナ取引」はこちらからご参照ください。

純金積立

金(プラチナ、銀もあり)

国内ETF/ETN

1326 SPDRゴールド・シェア
1328 金価格連動型上場投資信託
1540 純金上場信託(現物国内保管型)
2036 NEXT NOTES 日経・TOCOM金ダブル・ブルETN
2037 NEXT NOTES 日経・TOCOM金ベアETN

海外ETF

GLDM SPDRゴールド・ミニシェアーズ・トラスト
IAU iシェアーズ・ゴールド・トラスト
GDX ヴァンエック・ベクトル・金鉱株ETF

投資信託

ステートストリート・ゴールドファンド(為替ヘッジあり)
ピクテ・ゴールド(為替ヘッジあり)
ピクテ・ゴールド(為替ヘッジなし)
三菱UFJ純金ファンド

外国株

ABX Barrick Gold:バリック・ゴールド
AU AngloGold:アングロゴールド・アシャンティ
AEM Agnico Eagle Mines:アグニコ・イーグル・マインズ
FNV フランコ・ネバダ
GFI Gold Fields:ゴールド・フィールズ

国内商品先物

金・金ミニ・金スポット・白金・白金ミニ・白金スポット・銀・パラジウム

海外商品先物

金、ミニ金、マイクロ金(銀、ミニ銀もあり)

商品CFD(金・銀)