注目の中国株2:中船防務(00317)

 親会社は中国最大の造船基地を持つ中央系国有企業の中国船舶工業集団です。同社はその中核企業であり国家を代表する商用船メーカーであるとともに、軍用艦船を製造する軍事工業企業でもあります。

 部門別売上高(2020年12月期)では、軍用船などの特殊船が51%、コンテナ船が22%、ばら積み船が9%、タンカーが2%、鉄製建設足場が14%、海洋工業製品、船舶の修理・改造などが2%です。粗利益では特殊船が87%を占めています(コンテナ船、タンカーは粗利益ベースで大幅な赤字)。

 2020年12月期は47%減収ながら、568%増益となりました。大幅減収の要因は3月1日付で主要子会社の一つである広船国際の保有株の一部を売却、3月から広船国際が連結対象ではなくなったからです。大幅増益は多額(19億5,289万元)の株式売却益が発生したためです。

 同社に注目する理由は、米中冷戦構造は簡単には解消されず、台湾海峡を巡る緊張が持続すると予想するからです。今後、中国は軍用船の質、量の充実を図ると予想されます。

  2020年はコロナ禍のため造船市場が低迷、新船価格の下落などから、実質的には赤字決算でした。そのため株価は低迷していますが、同社は業界を代表する国策企業であり、倒産リスクは限りなくゼロに近く、下値は限られると考えます。

注目の中国株3:中国広核電力(01816)

 中央系国有企業である中国広核集団の中核企業で原子力発電所の建設、運営を行う国策企業です。部門別売上高(2020年12月期)では電力販売が79%、発電所建設が18%、その他が3%といった内訳ですが、粗利益ベースでは電力販売が98%を占めています。

 広東省、広西チワン族自治区、福建省、遼寧省などの海岸線に6カ所、24基の発電ユニットを稼働させています。建設中の発電ユニットは4基です。

 2020年12月期業績は16%増収、1%増益でした。大幅増収となったのは9月に二つのユニットが新たに発電を開始したこと、二つのプロジェクトで建設を開始したことなどが要因です。微増益にとどまったのは政府補助金の減少、前期発生した投資収益の反動などが要因です。

 コロナ禍の反動もあり、2021年1-3月期は25%増収、55%増益となりました。修理点検件数が多い中、上期の発電量は5%増となりました。2021年には1基のユニットが運転を開始する見通しです。

 習近平(シー・ジンピン)国家主席は2020年9月の国連総会において、2030年までに二酸化炭素の排出量をピークアウトさせ、2060年までにカーボンニュートラルを達成させると発言しています。第14次五カ年計画では総論として環境対策を強化すると明記されており、原子力発電の建設は今後、加速すると予想します。