国家管理の強化は他の産業へ波及するのか?

 教育産業への国家管理の強化は他の産業への波及を連想させます。さらに、経済がこれまで以上に混合経済化、あるいは国有化に傾くことを連想させます。資本主義、株式市場の役割を軽視しているようにも見てとれます。

 工業情報化部は7月26日、下半期の行政指導方針を発表したのですが、インターネット産業に対して特別な行政指導を開始したと強調しました。

(1)市場秩序を乱すこと、(2)ユーザーの権利を侵害すること、(3)データの安全に脅威を与えること、(4)資源・人的資源の管理規定に違反することなど、4つの方面に関して、8つの類、22個の具体的な場面を想定して管理を強化する方針を示しました。

 これまでイノベーション優先で超法規的に自由に事業を拡大できたインターネット産業ですが、2020年11月に始まったアリババ・グループへの粛正を契機に、当局はルールや秩序をより重視するといった指導方針に変わってきました。

 株式市場にとって「悪い話」が次から次へと出ています。

 しかし、株式市場は「悪」ではありません。共産党の大方針は、「経済を持続的に、安定的に発展させること」です。特にイノベーションは今後の経済発展の重要なカギとなっており、リスクマネーを供給するために資本市場はなくてはならない存在です。共産党は一貫して「株式市場の発展と安定」を重視しています。

 中国証券監督管理委員会が28日夕方、主な投資銀行の幹部を参加させ、臨時のウェブ会議を開きました。「教育産業に対する資金調達を禁止するなどの措置は教育産業に対して採った措置であり、その他の産業には何の関係もない」と改めて強調したそうです。

 さらに、新華社は28日深夜、異例の文章を発表しています。

「中国経済は持続的に好転しているといった基本面に変化はなく、中国の改革開放の足取りは依然としてしっかりしている。中国資本市場の発展の基礎は安定している」と強調しています。

「プラットフォーム経済や学習塾などの教育機関に対する今回の監督管理強化策は、関連業界に対して規律正しく健全な発展を促すためのものであり、インターネットデータの安全を維持し、人民の生活、生計を保障するための重要な措置である。関連する産業の発展を制限したり、圧力をかけたりするものではなく、経済社会の長期的な発展に有利となるものである」と政策の主旨を丁寧に説明しています。

「株式市場の発展と安定」の政策順位は決して低くありません。それが確認できたことで、両指数は反転上昇に転じたと考えています。

 当局の政策に一喜一憂するような相場が続いています。