売る時は売り、買う時は買う

 私がファンドマネージャー時代、当然ですが証券会社のストラテジストが書いていたレポートも読んでいました。ただし、以下2つのタイプのストラテジストは信頼しませんでした。【1】万年強気型と、【2】万年弱気型です。この2つのタイプは、事実上、相場の判断をしていないのと同じだと思いました。強気と弱気を使い分けるストラテジストだけを信頼していました。

 ストラテジストになった今、私は「もし今ファンドマネージャーだったらこうする」を、毎日書き続けています。したがって、強気を書くことも弱気を書くこともあります。もし、私が今ファンドマネージャーなら「今は売る」と考えるなら弱気レポートを書きます。「今は買う」と考えるなら強気レポートを書きます。

 ところが、それをやってみて1つ驚いたことがあります。弱気のレポートを書いた時、絶賛されることが多いことです。「証券会社が弱気を言うなんて。やっと本当のアドバイスに出会えた」みたいなことを書いてくださる方がいらっしゃいます。

 もう1つ、驚いたことがあります。強気を書いた時に、「証券会社だから強気なんでしょ」と冷たいコメントを受けることがあることです。皆様、よほど強気一辺倒の証券会社のセールスに嫌気がさしているのだな、と思いました。

 私はファンドマネージャー25年、証券会社ストラテジストになって7年です。いまだ頭の中はファンドマネージャーです。強気なら強気、弱気なら弱気と書くだけです。もちろん当たり外れあります。私のレポートをお読みになる時、それを理解して読んでいただけると嬉しいです。