信用取引の配当金は「売却益なの?」

 このように、株式の売却損益は、現物取引も信用取引も同じ扱いとなりますし、利益と損失はネットすることができます。

 ところが、信用取引で保有していた株の配当金については、現物で保有していた場合と全く扱いが異なります。

 実は、信用取引で保有していた株は、現物そのものを保有していたわけではないので、配当金をもらうことはできません。その代わり、配当金のようなものとして、「配当落調整金(はいとうおちちょうせいきん)」を受け取ることができます。

 これは、現物の株を持っていれば配当金として支払われるべき額から所得税の15.315%を控除した残額が、信用取引で買っていた株を保有している場合に受け取れるものです。

 この配当落調整金の税務上のポイントは、配当所得ではなく譲渡所得(売却益)になるということです。

 感覚としては、配当金をもらっているようなものなのですが、制度上これは配当金と似て非なるものなので、譲渡所得として取り扱われるのです。

 なお、空売りをしていて配当権利日をまたいだ場合は、逆に配当落調整金を支払う必要があります。これは譲渡所得(売却損)として扱われることになっています。

 現物取引と信用取引、税金の扱いは大体同じですが、ところどころ異なるところがあるのが実際のところです。

 今回お伝えしたような点を頭に入れつつ、信用取引を行ってくださいね。