5.ペイパルHD(PYPL):新機能、新サービスをスピーディに開発・展開できており、今後も業績拡大が続く見込み

 2020年10-12月期決算は、前年同期比23%増収、21%営業増益。同社サービスを利用した総支払額は、前年同期比36%増の2,770億ドル。高まるオンラインペイメントの需要を取り込み、市場予想を上回る着地となった。

 新規ユーザーを急速に獲得しており、10-12月期の新規アクティブユーザー数は1,600万人となった(前年同期比72%増)。2020年通期では新規アクティブユーザー数が7,270万人となり、合計アクティブアカウント数は3.77億まで拡大した(前年比20%増)。会社側は、2021年も拡大傾向が続くとし、新規アクティブユーザー5,000万人の獲得を見込んでいる。

 当社のポイントは、新機能を迅速に開発、投入し成果を挙げていることにある。

 当社は需要を掴む新サービスを次々と打ち出してきたが、特に数年前に買収した割り勘アプリ「Venmo」では新機能の投入が続いている。当初の機能は友人間の金銭送信だったが、その後、店舗での支払い機能拡充や、デビットカード機能の搭載を完了した。最近では一部のユーザー向けにクレジットカード機能と「Cash a Check with Venmo」サービスを立ち上げた。クレジットカード機能は、利用金額をベースにしたキャッシュバックの特典付きで、アプリ内で支出管理ツールも利用できる仕様になっている。「Cash a Check with Venmo」は、受け取った小切手(米国では一般的に利用されている)を撮影すれば、数秒で「Venmo」アプリ内にキャッシュが反映される機能。政府が配布した新型コロナウイルス手当の小切手にも利用でき、銀行に出向いて現金化する手間が省ける。さらに仮想通貨を保有できる機能も追加する予定。

「PayPal」では、2020年8月にスタートした「Pay in 4」が需要を急速に取り込んでいる。これは無利子で4回払いを選択できるサービスで、「PayPalウォレット」で支払いの管理もできるようだ。支払いが滞ると料金が発生する。会社側は「この規模でこれほど速い立ち上がりを見たことがない。米国では10月、この分割サービスのユーザーがおよそ300万人に達した」とコメントしている。同様のサービスを提供している企業は多数あるが、普段使い慣れた「PayPal」のプラットフォームで誘導できる点が同社の強みだろう。

 さらに、2020年の11月に買収を公表した「Honey」とのシナジー効果にも期待が持てる。「Honey」はブラウザの拡張機能で、これを利用すると、ショッピングサイトの商品ページにクーポンが表示されるほか、サイト横断で価格比較ができ、値引きがあった場合はウィッシュリストで通知を受け取ることもできる。このサービスを傘下に収めることにより、「PayPal」「Venmo」ユーザーのオンラインショッピングが促進されるだろう。