実はETFにも株式取引にも否定的だったボーグル

 意外に思われるかもしれませんが、ボーグルとバンガード社は、最初からETFという金融商品に肯定的だったわけではありません。

 むしろ、長年にわたって長期分散投資の重要性を提唱してきたボーグルは、ETFが誕生した1990年代当初、株式のように「リアルタイムで売買できるインデックス」としてのETFの商品性に懐疑的な見方をしていました。

 著書の中でボーグルは、いわゆる伝統的なインデックスファンドを「パッシブ(受動的)な投資家が(長期)保有するためのパッシブファンド」、ETFを「アクティブな投資家が売り買いをするためのパッシブファンド」と表現しています。

 もともとは前者のようにパッシブ=受動的な投資スタンスでインデックスファンドを保有していた投資家が、ETFによってメンタリティーを刺激され、投機的な取引の「沼」へと引きずり込まれてしまうのではないかと危惧したのです。

 というのも、ボーグル自身は、頻繁に売買する株式取引に対して、一貫して否定的なスタンスを示していました。著書の中でも、”I believe that stock trading is ultimately the investor’s enemy”(突き詰めていくと、株式取引というのは投資家にとって敵である)と、株式取引そのものを強い言葉で非難しています。

 読者の皆さんの中には、インデックスファンドで資産の一部を「ほったらかし」にしながら、現物株投資をされているという方も多いと思います。

 しかし、より厳密にボーグルの教えに従うなら、インデックス投資家というのは、ひたすらに「受動的に、長期にわたって、広範囲で且つ高度に分散されたポートフォリオへの投資」に専念すべきなのです。