7月の新興株<マザーズ、ジャスダック>マーケットまとめ

 7月の新興株市場は、コロナラリーが始まった4月以降では、月を通じて初めての一服となりました。米国でも話題のコロナ禍での株ブーム(米国では株を始めた個人投資家を『ロビンフッダー』と呼ぶ)は日本でも発生。個人の売買活発化がそのままポジティブとなる東証マザーズ指数は、4月+27.6%、5月+24.1%、6月+3.0%ときましたが、それが7月は▲5.3%でした。日経ジャスダック平均も▲2.3%で4カ月ぶりに下落(日経平均株価は▲2.6%、TOPIXは▲4.0%)。

 東証マザーズ指数は7月最初の週、週間で▲6.6%安から始まりました。この週まで、マザーズ指数は12週連続上昇。これ、マザーズ指数が算出され始めてから最長記録だったんですね。毎週上がるユーフォリアは、7月相場入りと同時にストップしました。そのきっかけは、コロナラリーで大人気化したワクチン関連のアンジェス、治療薬関連のテラ、PCR検査装置関連のPSSの流動性TOP3がそろって急落したことにありました。

 これら銘柄には、短期前提の「信用買い」で入る投資家が多く、そのポジションが急速に痛んでロスカットが重なると、売りが売りを呼ぶ連鎖になります。これまでが「バスに乗り遅れるな」だったのが、「バスから早く降りないと」へ豹変した、それだけです。そして、人気銘柄が急落すると、マザーズ市場全体が巻き込まれる…これが定石なのですが、そうはならなかったのが7月の新興株市場でした。

 日本の人気銘柄の一角でパニックが起きても、海の向こう米国のナスダック総合指数は連日で最高値を更新。また、中国本土株も7月に急騰する場面があり、「米中株のモメンタムに売り向かうのはデンジャラス」。そうした空気も醸成され続け…メルカリやマクアケ、マネーフォワード、BASEなどマザーズの主力ネット株に資金がシフト。今度はこっちで、「バスに乗り遅れるな」ムードを広げていきました。緩和バブルを謳歌せよ!が根底にあるなか、モメンタムトレードは結局続いた、そんな7月相場でした。