売買代金ランキング(5銘柄)

1 アンジェス(4563・東証マザーズ)

 期待で作られた大相場も、新型コロナワクチンの治験開始のタイミングで一旦終了(6月30日に、大阪市立大学医学部附属病院で第1/2相臨床試験を開始)。株価が節目の2,000円を割り込んだ2日が、7月の月間最大出来高(4,988万株)でした。

 一気に株価が下げたことで、値ごろ感から逆張りで買い向かった投資家が多かったものと見られます。ただ、リバウンドも続かず、連日値を崩す展開に。逆張りで買う投資家の売りに逆張りの買いをぶつける、その繰り返しで需給を悪化させました。治験は長い道のりです。この第1/2相臨床試験にしても、期間を21年7月31日までとしています。1年間というのは、目先筋にとって、さすがに耐えられる期間ではないわけで…。

2 Aiming(3911・東証マザーズ)

 月間騰落率は+4.1%ですが、その間の乱高下は凄まじかった…6月末終値は851円、7月13日に高値1,164円まで急騰、その後17日に696円まで暴落、そこから27日高値1,140円まで再浮上、そして月末が886円でフィニッシュ。

 赤字のゲーム会社だけに、一発逆転ホームランに期待されたのがスクウェア・エニックスと共同開発した新作スマホゲーム「ドラゴンクエストタクト」でした。8日に配信日が16日に決定したと発表すると急騰し、配信日の16日に“出尽くし売り”で▲16%。ただ、20日に配信5日で300万ダウンロードを突破したことや、4連休中にApp Storeデイリーランキングのトップセールスで首位になったことで急騰。ランキングが落ちると急落…値動き荒すぎでしたが、期待通りのヒットゲームになったことは事実です。業績寄与がある第3四半期決算に注目ですね(10月29日予定のため、かなり先ですが)。

3 PSS(7707・東証マザーズ)

 3月に付けた年初来安値(330円)から、6月に付けた上場来高値(3,150円)まで、わずか3カ月でほぼテンバガーを達成していたPSS。ただ、コロナ感染者数が減ってきていたことや、PCR検査の競合が増えていることなどもあり、調整地合いに一変。アンジェス同様、下落局面で逆張りの信用買い残が急増し、さらに下げることで逆張り買い分が売りに回る…需給悪化のループが月後半まで続きました。

 ただ、月後半にかけてコロナ感染者数が世界的に増え、日本でもPCR検査を増やすべきとの論調が活発化していきました。そして17日、日本国内で全自動PCR検査機とPCR試薬を8月3日より販売開始すると発表。念願の保険適用が決まり、月末にかけて株価も急浮上! 医療機関からの引き合いがどの程度強いのか? 前例の無い製品だけに、8月14日発表の本決算には注目されそうです。

4 ロコガイド(4497・東証マザーズ)

 6月、7月にIPOした銘柄の中で、セカンダリー(初値形成後)で最もパフォーマンスが良かったのが同社。というか、唯一パフォーマンスが良かった、とも言えそうなくらいロコガイド一強でした。公開価格2,000円に対して、初値は4,605円。上場14営業日目の13日に最高値8,780円まで駆け上がりました。

 チラシ・買い物情報アプリ「トクバイ」の運営が主力事業。社長の穐田氏は著名経営者です。その穐田氏がインタビュー記事で「3~5月は当初想定以上の数字」と発言していたため、業績上振れ期待が上場直後から備わっていました。それ以上に大きかったのは、ベンチャーキャピタルの入っていない需給面でしょう。突然需給が悪化するストレスが小さいなかで順調に値を切り上げ、買いが買いを呼ぶ展開に。

5 ステムリム(4599・東証マザーズ)

 前月末(6月末終値582円)の引け後にグッドニュースを発表。月初1日から2日連続でストップ高買い気配となり、8日に付けた上場来高値1,311円まで、わずか6営業日で瞬間最大2.3倍に! その後は急落しましたが、アンジェスなど他のバイオ株が急落するなかで、短期資金が代わりの投機対象として群がりました。

 そのグッドニュースは、塩野義製薬に導出しているパイプラインについて、新たに慢性肝疾患などを適応対象に加えて臨床試験を開始するとの発表。これにより、最大で総額31億円を受領する予定とのことです。適応症が拡大したことで、今期は営業損益段階から黒字化することを国内大手証券でも「ポジティブ」と評価していました。