不動産投資は安易な気持ちで手を出すのは危険

──今の資産の内訳をお聞かせいただけますか。

 ざっくり言うと、投資信託の運用資産がすべて合わせて3,600万円ほど、数年前に始めた不動産資産が9,500万円ほど、優待株をメインに個別株が500万円ほど、ほかに交通事故のときに支払われた保険金が1,000万円ほどあります。

──全部合わせると1億5,000万円近いですが。

 不動産は現金で購入したわけでなく、借金もあればローンも残っています。それを差し引くとまもなく約1億円ということです。

格安物件を発掘し、リフォーム知識を駆使してステキ物件に再生させた神奈川県の物件。不動産投資の話になるとイキイキ口調も明るくなった井上さん。誰もが借りたくなるような理想の物件を作り上げていく工程がとても楽しいとのこと。

──不動産投資についても少し聞かせて下さい。具体的にはどんな投資なのですか。

 格安な物件を探して購入、できるだけお金をかけずにリフォームし、賃貸物件として貸し出しています。結婚当初、僕ら夫婦は家賃10万円のアパートに住んでいたんですね。転勤による会社の家賃補助が出ていたので3万円程度の負担で住めていたのですが、交通事故にあって会社を辞める時、もちろんその補助もなくなってしまって。それで、住居費を節約する方法はないかといろいろ調べているうちに不動産投資のことを知り、挑戦することにしたんです。

──不動産投資ってお金持ちの投資というイメージがありますよね。

 僕もそう思っていました。でも、必ずしも莫大なお金が必要というわけでもないんです。実際、最初は築43年の4階建て中古マンションの一室を購入したのですが、価格は280万円でした。神奈川県内の、そこそこ大きい町で、最寄りの駅から徒歩5分ですから、とくに不便というわけでもない。探せばそういう物件もあるんです。しかも、リフォーム費用も自分でできることは自分でやったりしたので、150万円程度で済みました。その部屋を家賃6万5,000円で貸し出しました。

──今は何部屋か所有しているのですか。

 マイホーム以外に、マンション3部屋とアパート1棟を所有しています。家賃収入は合計月50万円くらい。運用コストと返済を引いても毎月20万円以上手元に残ります。マイホームも売却したら、売却益が出ると思います。

──そう聞くと、やってみたくなります(笑)。

 でも、安易な気持ちで手を出すのはお勧めできないです。あくまでも僕の感覚ですが、市場に売りに出ている物件のなかで、投資対象として優れているのは10%以下でしょう。それ以外の物件だと失敗に終わる可能性が高い。だからある程度の専門知識が必要です。僕の場合も、かなり本を読んだし、勉強もしました。勉強するのがとても楽しく、知識もどんどん身についていきました。おかげで住居費も0円になりましたし、相当、自分の性格や能力に合っていたんだと思います。

──それから優待株も保有されているんですよね。こちらも楽しいですか?

 はい。とても楽しいです! 僕は吉野家やすかいらーく 、クリエイト・レストランツ、など飲食業界の優待株を多く持っているのですが、食事券などが届くととってもうれしい! 節約がモットーなので、基本、外食はしないのですが、食事券をもらうと必ず行くので、行動範囲が広がります。優待株への投資は、日常にアクセントをもたらしてくれる良さがあると思います。

──最後に、億万長者になりたい! という読者に、アドバイスをいただけますか。

 ここ数年、日本経済は厳しい状況にあるので、収入が増えない、生活が苦しいという人も多いと思います。まして今回のコロナ・ショックで経営が傾いた自営業の方や、給与がカットされた、ボーナスが出ないといった会社員の方もいるでしょう。しかも、コロナ・ショックが落ち着いても、すぐには収入増が期待できそうにない。となれば、やはり自分で防衛策を考えるしかないでしょう。

──まずは節約してお金を貯めるのがおススメですか?

 はい、それができたら、世界経済の成長に連動するファンドの積み立てを始める。それが最も確実な方法だと僕は思います。

──自分にできることを無理なく続けることで1億円も夢じゃないと思えました。知識もセンスもいらないと言っていただけてやる気が湧いてきますね。今日はどうもありがとうございました。

<<前編:手取り22万円で資産1億円、その方法を教えて!
<<中編:月10万円の積み立てが全ての始まりだった