5:業績不振銘柄や不祥事を起こしている銘柄は避ける

 株主優待目当ての投資には、困った面もあります。以下の3点が挙げられます。優待魅力に惹かれて投資する人の一部に、財務内容や企業業績をまったく見ないで投資する傾向があることです。

「優待目当ての投資は良くない」例として有名になったのは、2010年に破たんした日本航空です。破たん前の日本航空は、業績や財務に問題がありましたが、株主に対して、航空運賃が正規料金の半値になる株主優待券を配布していましたので、優待券が欲しくて投資している個人投資家が多数いました。

 破たん後に再生して再上場した現在の日本航空は、財務内容も収益力も回復し、魅力的な投資対象になっていると思います。ところが、破たん前の日本航空は、財務内容に重大な問題を抱えていました。日本航空の破たん時に、私はファンドマネージャーをやっていましたが、当時の日本航空は実質債務超過であったことから、投資不可リストに入れており、投資することはありませんでした。

「実質債務超過」とは、自己資本が実質マイナスということです。当時、表面上、自己資本はプラスでしたが、開示されている財務諸表の注記事項をきちんと見れば、退職給付債務(年金)の積み立てに大きな不足があり、差し引きすると、実質債務超過であったことがわかっていました。

 株主優待は、個人株主にとって、とてもありがたい制度です。ただ、株式投資である以上、優待狙いで投資を考える場合でも、構造的に業績が悪化している企業や、不祥事を起こしている企業は避けるべきです。