2014年エボラ出血熱への恐怖で世界株安が起こった時の経験

 23日のレポートに、エボラ出血熱(当時の呼び名:現在は「エボラウイルス病」)への恐怖で世界的に株が売られた2014年10月の経験を書きました。参考にしていただきたいので、ここに再掲します。

2014年1~12月の日経平均の動き

 

 この年の日経平均は、1~4月まで、消費増税後の景気停滞などを織り込んで下落しました。ただし、年後半は、景気停滞からの回復を織り込みつつ、日経平均は上昇しました。

 ところが、年後半、10月に日経平均は一時急落しています。エボラ出血熱が世界に拡大する不安、世界景気が悪化する不安などから、世界的に株が急落し、日本株にも外国人投資家の売りが増えました。ただし、10月の下落は一時的でした。景気回復が続いたこと、日銀が大規模な追加金融緩和を発表したことなどを受けて、11月には世界的に株が急上昇、日経平均も外国人による買い戻しで急騰しました。

 エボラ出血熱は毒性が強く、感染して早期治療しないと致死率の高い疾患です。2014年6月より西アフリカで大流行し、欧州・米国でも感染者が出ました。エボラ出血熱への 恐怖から、欧米で一時外出を控える動きが広がり、それが世界的な景気悪化につながるとの懸念も出ました。

 日本では感染者は見つかりませんでしたが、日本でもエボラ出血熱への恐怖が広がっていました。「もし日本で感染者が出れば、日本の消費がさらに落ち込み、日経平均は1,000円以上下がる」という人もいました。

 アフリカで多数の死者が出たエボラ出血熱ですが、恐怖のピークは2014年10月でした。その後、感染防止策の徹底や、治療薬の開発が進み、感染は徐々に終息に向かいました。後から振り返れば、エボラ出血熱が、世界全体の景気に与えた影響は限定的でした。

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