1月に入り、波乱続き

米イラン対立への不安が去ったら、次は新型肺炎の不安

 先週の日経平均株価は1週間で214円下落し、2万3,827円となりました。中国の武漢で発生した新型コロナウイルスの感染拡大に対する不安から、中国および世界景気が悪化する不安が生じ、世界的に株が売られました。その流れで、日経平均も外国人と見られる売りが増加しました。

 中国保険当局の発表によると、新型肺炎の感染者は25日、中国国内で1,975人に、死者は56人にまで拡大しました。日本を含む中国以外の13の国や地域でも、感染者が見つかり、世界全体で感染者は2,000人を超えた模様です。

 米国内でも先週、2人目の感染者が見つかりました。NYダウは、感染拡大への不安から、先週は4日続落となりました。

日経平均日足:2019年10月1日~2020年1月24日

 

 昨年10月以降の日経平均の動きを、簡単に振り返ります。昨年10月から、日経平均は上昇が加速しています。米中対立の一時緩和、世界景気回復期待から、世界的に株が上昇した流れから、日本株にも外国人の買いが増加しました。

 ただし、10~12月の世界景気は不振でした。中国中心に、製造業の景況が世界的に悪化。中国と経済的つながりが深い日本、ドイツ、東南アジアの景気も悪化しつつありました。
 先行き回復期待があるものの、まだ景気が悪い中で株高のピッチが速いことに、やや不安が生じていました。そうした中、12月後半から「目先はスピード調整が必要」とのムードが広がり、日経平均の上値は重くなっていきました。

 1月に入り、3日に米国がイランの革命防衛隊司令官を空爆で殺害し、8日にイランが報復として米軍基地にミサイル攻撃をしかけると、米・イラン開戦危機が高まったと不安が広がり、世界的に株が急落しました。ところが、米・イランともこれ以上の緊張の高まりを望まないことがわかると、すぐに株は急反発。15日に、米中が通商交渉で「第一段階合意」に署名したことも好感されました。

 ところが、先週になって再び世界的に株が売られました。新型肺炎への不安が売り材料となりました。新型肺炎が、中国景気を悪化させ、米景気にも悪影響を及ぼすと不安が広がったことによります。