投資ヒストリー&投資哲学を教えて!

過去最大の失敗談は?

ライブドア・ショックではヒヤリ。損切りタイミングを逃して大損も…

 2005年の小泉郵政解散で株価が大きく上昇して、周りで株をやる人が増えて、自分もやってみようと開始しました。最初はよほど間違えなければ、ほとんどの株が上がっていたので絶好調だったんですが…。天狗になっていたら2006年1月のライブドア・ショックで、保有株の多くが急落。初めて株式投資の怖さを知りました。その後は一進一退の相場がしばらく続きましたが、悪材料が出た銘柄に対して少し待てば戻るかもという希望的観測を抱いてしまい、損切りが遅れて結果的に損失が膨らんでしまったことが初心者時代の失敗でした。

 また、会社員時代に有給休暇を取得したタイミングで、慣れないデイトレードをやってみて、あっさりと数万円損したことも。当時としては大金です。とにかく、慣れないことを適当な気持ちでやって、ずるずると損を出してしまうのが初心者時代にありがちな失敗だと思います。

過去最大の成功談は?

「順張り」の基本に立ち返り、上昇トレンドにうまく乗って成功!

 公表できる投資の中で一番の成功体験は、2015年の日新製糖への投資です。11月に業績改善、増配発表、東証一部昇格という3連コンボがあったことから、株価上昇に期待できると考えて購入。株価は12月にかけて約2倍高まで上昇しました。

 この日新製糖のように、長らく地味な株価推移が続いていた低PBR(株価純資産倍率)のバリュー銘柄が好決算や増配を発表したときは、1~2カ月程度、株価の上昇が続く傾向が強いもの。割安銘柄にカタリスト(触媒)が生じた場合、時として驚くほどの株価上昇があるので、早売りせず、上昇についていって利を伸ばすことを心がけています。

 また、2006年のライブドア・ショックまでの上昇トレンドにはうまく乗る経験ができたこと。上昇相場が続く限り、順張りでいい、という成功体験はその後のアベノミクス相場でも生かされました。2006年からリーマン・ショックが起こる2008年秋まではボックス相場気味の下げ相場が続きましたが、2006年前半の悪材料が出たのに損切りせずに戻るかもと祈って傷口を広げてしまった教訓で、ロスカットを徹底したことから致命傷を追うことなく乗り切れたことも、初心者時代に得た大きな経験だったと思います。

これまでの投資で買ったお宝は?

 100万円のワイン福袋に入っていたペトリュス(約60万円)を飲みました。「神の舌を持つ男」の異名を誇るロバート・パーカー氏(ワイン界の世界的権威)が、「ワインというよりも神話の象徴」と評価したワインを飲めたのは人生の思い出です。

 また、5大シャトーも完全制覇しました。誇張ではなく、飲むと本当に鳥肌が立つほど、おいしいワインと出会えたのは、投資で利益を上げられたからこそ。

 将来に残るモノとしては、隕石でできた時計が100万円強で最も高い持ち物です。光る度合いが控えめでビジネスシーンでも使えるのが◎。今年、アーリーリタイアしてしまったので、あまり意味ありませんが(笑)。

失敗や成功を通じて学んだこと・投資哲学は?

「食わず嫌いはなし」が私のポリシーです。さまざまな書籍や投資家さんのブログを参考にして、本当に多種多様な投資を少額で試してきました。その中から、自分なりに最もしっくりきたイベント投資を確立しました。景気や相場環境に左右されず、手堅く利益が出るのがその魅力です。

 ここまで株式投資で成功できたのは、安定的に勝てるようになるまで試行錯誤して努力・研究を続けたからだと思います。漫画『スラムダンク』の中にあった安西先生の言葉「諦めたらそこで試合終了ですよ」は本当に名言です!