読者の方から「中国バブルはいつ崩壊する?」という質問を受けました。今日は、中国景気の現状および先行きについて私なりにお答えします。世界景気および日本株に大きな影響を及ぼす中国経済の現状からは目が離せません。

摩訶不思議な中国GDP。景気実態はかなり悪いのに「6%成長」?

 中国国家統計局が10月に発表した7~9月の実質GDP(国内総生産)は前年比6.0%増でした。この伸び率は、中国がGDP統計の発表を始めた1992年以来、最低です。米中貿易戦争の影響で生産が低迷し、「いよいよ中国景気の厳しさが浮き彫りになった」と解説されています。さらに一部には、「来年の2020年はGDP成長率が6%を割り込み、さらに厳しくなる」との予想も出ています。

 今の話を聞いて、何か違和感を覚えませんか? 私は、とても変だと思います。GDPの世界ランキングで1位は米国、2位は中国、3位が日本です。世界第2位の中国が、もし本当に6%もの高成長を実現しているならば、そんなに景気が厳しいと言うでしょうか?
6%もの高成長は、普通は人口増加が著しい新興国でしか実現できません。経済規模が大きくなるにつれ、成長率は徐々に低下していくのが自然です。

 米国の7~9月期GDPは前期比年率2.1%増でした。米景気は好調です。貿易戦争で世界景気が減速する中、米国の1人勝ちが続いています。それでも、成長率はたかだか2%です。2%とは言っても、そもそもGDP世界トップの国がそれだけ成長できるのは、実はすごいことなのです。

 中国政府の発表をそのまま信じるならば、中国は世界2位の経済大国になってなお6%もの高成長を持続していることになります。もし本当に6%もの成長を実現しているならば、中国は今でも世界経済を強力に牽引する機関車役になっているはずです。

 ところが実態は正反対です。中国の景気失速が世界経済に重大な脅威となり、中国ショックが世界に広がっています。ということは、中国のGDP成長率は、もっと低いはずです。私は、足元の伸び率は、2~3%に落ち込んでいると考えています。

 リーマン・ショック直後、2009年1~3月には、中国のGDPも一時的に前年比マイナスになったと私は分析しています。チャイナ・ショックがあった2015年10~12月にもマイナス圏に入った可能性があります。足元の中国GDPは減速しているものの、その頃ほど悪くはなっていないと考えています。