金相場は、長期的には堅調に推移、短期的には条件次第で1,600ドルもあるか?

 投機筋の買い枚数が減少して調整が発生する可能性はあるものの、中央銀行の金保有、個人・機関投資家のETF残高の積み上げが直ちに終わるとは考えにくいと思います。

 主要国の10年債利回りの低下傾向は、米国の利下げが続く限り、筆者は継続すると考えています。米国の金利水準が切り下がれば、主要国の間で、貿易上、輸出に有利な自国通貨安を目指す動きがさらに目立つ可能性があります。

 また、他国との金利引き下げ競争以外に、自国の景気を回復させるために利下げを行うという動機もあると思います。

 ただ、世界的な金利低下傾向は、金にとって代替通貨という側面から上昇要因である一方、同時に発生する可能性がある株高によって上値を抑えられる可能性があることには留意が必要です。

 最も強気なシナリオとして、可能性は非常に低いかもしれませんが、例えば、中央銀行の長期的な金保有増加という流れが変わらず、かつ、世界的に株安・ドル安・金利安が同時発生して個人・機関投資家がETF残高の積み上げペースを加速させ、それに乗じて投機筋が記録を塗り替える買い枚数を保有、複数の有事が世界で同時発生すれば、数カ月以内に1トロイオンスあたり1,600ドルを目指す可能性はあるかもしれません。

 だた、それよりも、まずは投機筋の買い枚数の減少がいつどの程度の規模で起きるかに要注意です。