投機筋の買いがすでに高水準である点に注意

 投機筋に動向に注意したい点があります。先ほどは、投機筋の買い越し幅に注目しましたが、今度は買いと売り、個別に見てみます。

図:NY金先物市場の投機筋の買い枚数と売り枚数(左軸)、および金価格(右軸)

 

出所:ブルームバーグとCMEのデータより筆者作成

 赤線の投機筋の買い枚数が10月22日時点で32万3,000枚となりました。逆にオレンジの投機筋の売り枚数は同6万4,000枚で2013年以降の最低水準になりました。先に述べた買い越し幅が記録的な水準に達したのは、買いポジションが記録的水準に積み上がったことが背景にあると言えます。

 短期的な売買を繰り返すことで買い・売りともに枚数の増減の振幅期間が短くなる傾向がある投機筋の売買において、記録的な水準に至った買い枚数が、今後、短期的な減少(場合によっては急減)する可能性があります。

 現在の記録的な水準まで積み上がった投機筋の買い枚数は、目先、金価格が一時的で短期的に下落する可能性を示すものであるため、今後注視が必要です。