「リスク=価格変動」という議論をする場合
「リスク=価格変動」の議論をする場合、価格の変動はリターン、いわゆる投資利益の源泉であると考えられます。
つまり価値観として「リスクは悪いものだ」という発想はこの文脈では存在しないのです。
むしろ価格変動は征服すべきチャレンジの対象であり利益機会に他ならないのです。その場合、まず価格変動のばらつきの中心を求め、そのばらつきの中心がゼロ「0」よりも高ければ、リターンはプラスであるというふうに考えるのです。
この場合、「結果のばらつき」具合が比較的集中しているか、逆に拡散してしまっているかがリスクの度合いを測る主な尺度となります。投資の世界ではこれを標準偏差によって表現することが一般的です。なお個々の証券の価格変動のプロフィール(肖像)はその時々によって刻々と変わってゆくものです。
「リスク=損をすること」という議論をする場合
「リスク=損をすること」の議論をする場合、それらのリスクを総称して「金融リスク」というふうに呼びます。
「金融リスク」はさらに細かく「流動性リスク」「信用リスク」「市場リスク」の三つに大別できると思います。そして、そのさらに細かい分類として、下図にあるようなさまざまなリスクが存在するのです。
ETFを使うことで避けられるリスク
上図の中で個別株の代わりにETFを購入することで避けられるリスクを挙げると、
- 不正会計リスク
- 情報リスク
- 倒産リスク
- 過度の集中リスク
などは、ほとんど心配しなくて良いでしょう。
しかしそれ以外のリスクはETFを買っても回避できません。多くの個人投資家は「マーケット全体を買っているのだから、日頃の注意を怠っても大丈夫」と考えがちです。それどころか個別株投資のように毎日リスクに晒されていない分だけ全体のリスクに対してきわめて鈍感になってしまう人が多いようです。これはETFに代表されるインデックス投資家の悪いクセなので、そういう怠け心がつかないように気を付けてください。