ドイツにも焦り

 EUを主導しているのは、EU最大の経済強国ドイツです。南欧のEU加盟国で勢力を拡大しつつある急進左派勢力や極右勢力など、反EU勢力は、今のところ「EU官僚」「ブリュッセル(EU本部があるベルギー首都)」を、緊縮財政を押し付けて景気を低迷させる元凶として批判しているが、一歩間違えば、批判の矛先は「ドイツ」に向かいかねません。

 そのドイツに焦りがあります。経済的に弱体のギリシャなど南欧諸国を、ドイツがEUを通じて財政的に支えていることに、ドイツ国民の不満が膨らんでいるからです。「われわれの税金を使ってギリシャを支えるのはやめろ」という声が広がっています。財政規律を重んじるドイツ・オランダなどは、第2・第3のギリシャが現れることを防止するために、財政状態のよくない南欧諸国に、何としても緊縮財政を守らせなければならないと焦っています。

 EUを主導するドイツでも、反移民・反EUを掲げる極右政党「ドイツのための選択肢」が勢力を拡大する事態が起こっています。

日本株への影響

 英国のEU離脱問題、欧州全域で反EU勢力が拡大している問題は、簡単に解決せず、長期的にくすぶり続けるリスク材料となるでしょう。ただし、すぐに世界経済や世界の株式に大きな影響を及ぼすものではないと考えています。当面、日本株に与える影響は、あまり大きくないと考えています。

 日本株の投資判断は変わりません。日本株は、買収価値や配当利回りから見て「割安」と判断しています。世界経済の混乱で売られる局面では、大型の高配当株から積極的に買っていくべきと考えています。

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